ジャワのガス配給に出資 東京ガス 過去最大級の投資規模
東京ガスは26日、東南アジア全域の事業を統括する子会社の東京ガスアジア(本社・シンガポール)を通し、インドネシアのガス配給事業スーパー・キャピタル・インドネシア社のグループ会社の株式を取得したと発表した。ジャワ島でのガス供給事業を強化する。
スーパー・キャピタルは、ジャワ島東部を中心に事業を展開する。東京ガスはスーパー・キャピタル子会社のスーパーエナジー(SE)の株式を33・4%、その傘下のエナジー・ミナ・アバディの株式を約18%それぞれ取得した。東京ガスによる海外のガス配給事業者への出資は5例目で、今回2社に出資する計約100億円は過去最大級の投資規模となる。
東京ガスグループは2015年、ジャカルタに駐在員事務所を開設した。17年には約42億円を投じて、民間ガス事業最大手ルクン・ラハルジャ社からガス配給子会社パンジ・ラヤ・アラミンド社の株式33%を取得するなど、事業基盤強化を進めてきた。
パンジ社が導管によるガス配給を主に展開する企業であるのに対し、今回出資したSEはトラック輸送によるガス配給を行っている。
従来は商業利用できていなかった、石油採掘に伴って産出したり、小規模ガス田から採れたりする未利用の天然ガスを活用するビジネスモデルが強みだ。
天然ガスを精製・圧縮した後に、高圧シリンダーに充填して主に産業用に供給する。導管がまだ普及していない地域の事業者を主なターゲットとする。地場系の食品製造業やたばこ工場などが顧客として想定されるという。今後5年間で、SEの年間ガス販売量を現在の約5千万立方メートルから5倍に引き上げることを目指す。
インドネシア国内におけるガス供給は、国営石油・ガスプルタミナ傘下の国営ガスPGNが家庭用・産業用ともに圧倒的シェアを誇るが、同社のパイプラインが行き届かない地域も多い。PGNにはない、独自のノウハウを持ったガス事業者との取り引きを望む大口投資家の潜在的な需要も大きい。
東京ガスは、「出資後の事業拡大に向けて将来的に輸送効率の高い液化天然ガス(LNG)の陸上配送を検討する可能性がある。日本で培ったLNGバリューチェーンにおけるノウハウを活用したい」としている。