スマトラで日イの懸け橋 メダン総領事館が表彰 日本語講師スミエさん
長年にわたり西スマトラ州パダンのブン・ハッタ大学で日本語を教えるなど、日イの友好・協力関係推進に貢献したとして、ヌル・スミエ・アリ(旧姓日本名・小瀧須美枝)さん(六〇)がこのほど、在メダン日本総領事館から在外公館表彰を受けた。両国間の懸け橋としての役割を果たしてきたスミエさんは「もっと勉強して、上手に日本語を教えられるようになりたい」と志を新たにしている。
スミエさんは神戸大学に留学していた夫のサリフさん(七五)と結婚、一九七四年にパダンに移住した。インドネシア語をブン・ハッタ大学教育学部で学んだ縁で、九〇年から同大学で日本語講師を務めている。
二十二年間の教員生活で、日本語教育の普及・発展に寄与してきたが、今回の表彰を「私でいいのかな。まだ役に立ったという実感はない」と謙遜するスミエさん。大学では、学生から卒業論文の日本語要約版の添削を依頼されることも多いが、テーマは文学や文化などさまざまで、「六十歳になっても毎日勉強しないとついていけない」と笑う。
日本語教育だけでなく、文化交流のきっかけも作った。十五年ほど前、受け持ったクラス約五十人で始めた寸劇の発表会が、自然発生的に全学を巻き込んだ日本文化祭に発展。今では弁論、朗読、アニメなどのイベントを学生自らが企画するようになっただけでなく、近隣高校も同様の文化祭を開くようになった。
教え子の多くは卒業後、教員となり、高校などで日本語を教える。その活躍を見聞きするたび、スミエさんは日本語教育の広がりを実感。大きな喜びになっているという。
スミエさんはパダン日本人会会長を歴任した経験もあり、現在でも在留邦人間の連絡役として、中心的役割を果たしている。
パダン市内で九日にあった表彰状授与式には、大学関係者ら約六十人が出席。濱田雄二総領事がスミエさんに表彰状を手渡した。