「こんなはずじゃなかった」 ハルモニ交差点  平和的な学生デモが一転

 「やめろ、石を投げるな!」。大学の制服のジャケットに身を包んだ学生が、防護盾で築いた警官隊の壁の前で叫んだ。その視線の先には砕いたレンガや木の棒を手にした若者たち。平和的な抗議集会として計画されていた「オムニバス法」の雇用創出法案撤回を求めるデモは、便乗して騒ぎに加わった若者らによって、投石と催涙弾の応酬へと姿を変えた。           

 中央ジャカルタのハルモニ交差点では、8日正午過ぎから、イスタナ(大統領宮殿)を目指すデモ隊と、警官隊のにらみ合いが続いていた。デモを主催したのは全インドネシア学生評議会(BEM・SI)だが、大学生だけでなく、あどけなさの残る中高生くらいの少年や、労働者風の男たちも多く参加していた。
 デモ隊は当初、警官隊による道路封鎖を突破しようとはせず、学生の代表が現場の警官に道を開けるよう交渉を試みていた。 
 しかし、交渉が長引くにつれて「道を開けろ」というシュプレヒコールが大きくなり、やがて投石に発展。大学生らが警官隊の前に出て、文字通り体を張って制止を試みたが、数で勝る暴徒は聞く耳を持たず、やがて激発した。
 「アンジン(犬)!」、「ボド(ばか野郎)!」。警官隊を罵倒しながら、砕いたレンガや空き瓶を投げつける暴徒。警官隊は催涙ガスや放水で応戦した。大学生らは投石と催涙弾の板挟みとなり、一帯は混乱を極めた。
 「こんなはずじゃなかった。国を思う気持ちはみな同じ。なのに、暴動だなんて……」。催涙弾の充満した交差点の真ん中で、トリサクティ大学のリスキーさん(21)が涙ながらに訴えた。(高地伸幸、写真も)

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