押し寄せる大量のごみ 南ジャカルタ マンガライ水門
バキバキバキ——。22日午前4時半、南ジャカルタのマンガライ水門。重機がアザーン(イスラム礼拝の呼びかけ)をかき消しながら、流れ着いた竹やペットボトル、菓子の包装紙などをトラックの荷台に積み込んでいく。生暖かい風に乗って、ヘドロと生ごみが混ざった様な異臭が鼻をついた。首都圏で大雨が降った21日から22日未明、水門から川の水とともに大量の流木やごみが流れ出し、ジャカルタ特別州で洪水を引き起こした。
雨は21日午後3時から西ジャワ州ボゴール市周辺で勢いを増し、夜までに首都圏広域で降り続けた。マンガライ水門の前を埋め尽くしたごみのほとんどは、この雨で増水したチリウン川を下り、西ジャワ州から流れてきたものだという。
ごみの中には、砕けた発泡スチロールやドアの外れた冷蔵庫なども混じっていた。トラックの荷台は重機が3、4回、ごみを入れると満杯となり、その度に大量の木片やプラスチックごみが泥水とともに漏れ出た。急遽現場に駆り出されたという州政府の生活環境局職員らは、額に大粒の汗を浮かべながら、トラックの荷台からあふれたごみをかき集めていた。
生活環境局のアンドノ・ワリ局長は「ここ(マンガライ水門)でごみを食い止めなければ、中心部の川が詰まり、首都が水浸しになる」と説明する。ジャカルタでの洪水の発生は雨による川の増水だけでなく、滞留するごみの影響が大きいという。
しかし、ごみは続々と流れ着き、回収は追いつかない。マンガライ水門からあふれたごみが、大量の雨水とともにジャカルタに向かってチリウン川を流れていった。
22日午前11時時点で、ジャカルタ特別州の少なくとも56隣組(RT)の住宅、道路10カ所で浸水が確認された。州政府が設置した避難所には30世帯の104人が身を寄せている。(高地伸幸、写真も)