埋め立て地にモスク建設 アンチョール 市民団体「公約と矛盾」
北ジャカルタのテーマパーク「タマン・インピアン・アンチョール」に約155ヘクタールの埋め立て地を造成し、モスクと博物館を建設する計画が進んでいる。埋め立て計画はアニス・バスウェダン・ジャカルタ特別州知事が今年2月に承認していた。2017年の州知事選挙で人工島の造成中止を公約に掲げてきたアニス知事に対し、市民団体からは抗議の声が上がっている。
地元メディアによると、同テーマパークを運営する州営企業プンバングナン・ジャヤ・アンチョールは埋め立て地に、モスクやイスラム教の預言者ムハンマドに関する博物館などを建設する予定という。
埋め立て地の造成は、アニス知事が今年2月に承認。テーマパークの東部に約120ヘクタール、西部に約35ヘクタールの合計155ヘクタールの埋め立て地を造成する。
同州のサエフラ地方官房長によると、2月から工事が始まっており、埋め立てには州内の河川や貯水池での浚渫(しゅんせつ)工事で発生した泥を利用しているという。
アニス州知事は17年のジャカルタ特別州知事選挙で、地元漁民らの声に応える形で、ジャカルタ湾で計画されていた人工島の造成中止を目玉公約のひとつに掲げた。知事就任後の18年9月には、造成済みの4島を除く計13島の造成中止を発表。6月23日には、人工島の開発会社のひとつが造成中止を不服として起こした訴訟の上告審が最高裁判所であり、州政府による造成中止が認められた。
こうした経緯から、漁業関係者からなる市民団体「KIARA」は6月26日、アニス知事に対し、今回の埋め立て計画の承認は、人工島の造成中止を進めた同知事の立場に矛盾するとして抗議声明を出した。
これに対して州政府のサエフラ地方官房長は3日の会見で、今回の埋め立て計画は、首都の洪水対策「ジャカルタ浚渫イニシアチブ(JEDI)」の一環であり、アニス知事が中止した人工島の造成とは異なる計画である点を強調。埋め立て計画を続行する方針を示した。(高地伸幸、写真も)