派遣中止を正式決定 20年度日本語パートナーズ 国際交流基金
国際交流基金ジャカルタ日本文化センターが実施してきた「日本語パートナーズ」の2020年度派遣事業は、新型コロナウイルスの感染拡大などを考慮し、中止とすることを17日までに正式決定した。同センターとしては21年度の派遣再開に向け、状況との見合いの中で準備を進めたいとしている。
同センターによると、派遣中止は5月28日、同基金として意志決定した。新型コロナの感染拡大で派遣の前提となるインドネシア側による査証発給の見通しが立たず、入国制限措置といった現状もあることから、派遣は断念せざるを得ないと判断した。
同センターはまた、今年度の派遣についてインドネシアの教育当局や学校現場と協議を重ね、あらゆる可能性を探ってきたが、「参加者の安全を第一に考える必要がある」とし、見送りを決めた。
日本語パートナーズの派遣事業は、安倍政権が2013年12月に開かれた日・東南アジア諸国連合(ASEAN)特別首脳会議で提唱した「文化のWA(和・環・輪)プロジェクト」の一環。日本語教育のアシストなどに従事する人材を2020年までに3千人超派遣する国家事業として始まった。
このため、当初は今年度の派遣が最終年度となる予定だったが、派遣人数が最も多いインドネシアは継続案件となった。このため同センターでは、21年度も「これまでの成果を活用しながらプロジェクトを続行させたい」としている。
一方、今年度に派遣される予定者に対しては、「早い段階から派遣の見通しが不透明になりつつある」などと通知。新型コロナの影響で新卒者の内定を取り消す企業が続出しているが、大きな混乱はないとみている。
参加予定者の1人だった上智大学4年生の安藤玲那さんは、「休学申請までしたところで派遣中止の通知を受け取った」と残念そう。しかし、インドネシアで働きたいという気持ちは逆に強まり、現在はジャカルタ特別州で別の受け入れ先を見つけた。(長谷川周人)