通信制限に違法判決 大統領らに謝罪命ずる ジャカルタ行政裁

 独立ジャーナリスト連盟(AJI)と東南アジア表現の自由ネットワーク(SAFEnet)が、昨年8月に起きたパプア出身の学生に対する人種差別に端を発した大規模デモを受け、政府が実行したパプア州と西パプア州おける携帯電話でのインターネット通信の一時停止措置は違法だったとし、インドネシア共和国大統領と情報通信省に謝罪を求めた訴訟の判決が3日、ジャカルタ行政裁判所であった。行政裁は原告の訴えを認め、被告に対して謝罪を命じた。
 判決によると、政府は昨年8月19日、パプア・西パプア両州の一部地域で午後1時~同8時半の間、通信速度を遅くするなどの制限を開始。21日以降はより強力な通信制限に踏み切り、パプア州の21地域と西パプア州の13地域で9月4日まで、携帯電話によるインターネット通信は完全に停止された。
 地元メディアによると、被告側はホークス(偽情報)などの拡散を防止するため、情報電子商取引法(ITE法)に基づき通信制限を実施したと主張。これに対して行政裁は、ITE法で通信制限が認められるのは違法性のある情報に限られ、インターネット通信を完全停止することはできないと被告の主張を退けた。さらに、戒厳令が敷かれていなかった両州での通信制限は違法だとした。
 パプア州と西パプア州では昨年8月19日、中央政府による差別に抗議し、先住民が大規模なデモを行った。発端は、東ジャワ州スラバヤで数日前、パプア出身者の学生寮を捜索した警官や、詰め掛けた民間人が、学生に「サル」などとの暴言を浴びせたとされる問題。デモはパプアの広域に波及、治安部隊との衝突で多数の死傷者が出たとされる。ジャカルタ特別州でもデモが行われ、パプア独立の是非を問う住民投票の実施を求めた。
(高地伸幸)

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