「観光業、回復に10カ月」 新型コロナ禍 業界団体は支援不足訴え
ルフット・パンジャイタン海事・投資投資調整相は2日、国内の観光業が新型コロナウイルス感染拡大の影響から回復するまで、約10カ月を要するとの見方を示した。ルフット調整相は政府による支援を行うとしたが、業界団体からは政府による支援不足を訴える声が上がる。新型コロナ収束のめどは立たず、影響の長期化が懸念される。
地元メディアによると、ルフット調整相は2日、観光業界関係者などの参加するウェビナーの中で、観光業が新型コロナのパンデミック(世界的大流行)の影響から回復するまでに約10カ月を要するとした、世界旅行・ツーリズム協議会(WTTC)による報告書の内容に言及。通常、1~2カ月程度で立ち直るテロや自然災害に比べ、観光業へ及ぼす影響が著しく長期化する可能性があるとして、政府が継続的な支援を行うとした。
一方、地元メディアによれば、ホテル・レストラン協会(PHRI)のハリヤディ・スカムダニ会長は、政府による「国家経済回復プログラム(PEN)」で計上された予算、約641兆1700億ルピアのうち、観光業界に割り当てられるのは3兆8千億ルピアに留まっていると説明した。
インドネシア国内にある約72万室のホテルと1万7862軒の飲食店を存続させるには、6カ月間の運転資金として「少なくとも21兆3千億ルピアは必要」と指摘し、政府による支援不足を訴えている。
■外国人訪問数は87%減
中央統計局(BPS)の発表によると、政府が4月2日から滞在許可を持たない外国人の入国を禁止したことが大きく影響し、4月の外国人訪問者数は前年同月比87・44%減の16万42人だった。
中でも、インドネシア最大の観光地とされるバリ島のングラライ空港は前年同月比99・94%減の273人だった。
首都の玄関口であるスカルノハッタ空港(バンテン州タンゲラン)も99・79%減の775人となっている。(高地伸幸)