治安悪化に注意喚起 窃盗事件が散発、テロ警戒も 日本国大使館
在インドネシア日本国大使館は22日、インドネシアが24日ころからイスラム教のラマダン(断食月)に入ることを踏まえ、犯罪が増える傾向があるこの期間、治安悪化に注意するよう呼びかけた。
この中でまず、イスラム教徒にとって神聖なラマダン期間中、「イスラム教徒の習慣を尊重し、周りの人の感情を害さないよう自らの言動に気をつけてほしい」と警鐘を鳴らした。「通常以上の配慮が必要」ともした。
その上で、現時点で脅威情報は確認できていないとしながらも、「ここ数年、ラマダン期間中及びその前後にテロが発生している」と指摘。このため、テロの標的となりやすい警察などの治安関連機関や宗教施設、また商業施設など不特定多数の人が集まる場所に近づく場合は、周囲の状況に細心の注意を払うよう呼びかけた。また不穏が動きがあれば速やかにその場を離れるなど、「テロへの警戒」を怠らず自らの安全を確保するよう注意を促した。
一方、この期間は例年、スリや置き引きなど金品目当ての窃盗事件も増加傾向にあるが、今年は「大規模社会的制限(PSBB)」の実施で経済が停滞。加えてインドネシア政府はラマダンに伴う帰省を全面的に禁止しており、収入を失って生活に困窮する貧困層が首都圏(ジャボデタベック)に留まり、不満を鬱積させている。
このため、大使館は「生活困窮等に由来する犯罪の発生が例年以上に増加する可能性がある」と指摘。ジャカルタ中心部や南ジャカルタでは、最近、日系スーパー付近の路上や飲食店前などで「邦人が強盗やひったくりなどの犯罪被害に遭う事案が複数発生している」として、注意を呼びかけた。
また、新型コロナウイルスの感染拡大にともない、偽情報が流布されるなど悪質なケースも目立つようになっている。中には日本語による書き込みもあり、大使館は入手した情報は決してすべて鵜呑みにはせず、「正しい情報か確認し、誤った情報にだまされないよう注意してほしい」としている。(長谷川周人)