「死者、1000人超」 医師協会 保健省統計に疑義
保健省の統計によると、21日時点で国内における新型コロナウイルスによる死者は616人に達した。一方、インドネシア医師協会(IDI)は19日、新型コロナによる死者が政府発表を大幅に上回って1千人を超えたという見解を示している。コロナ感染は確定していないが、その疑いのある「監視対象者(PDP)」や「観察対象者(ODP)」の中に新型コロナによる死者がいる可能性があるとして、政府に情報開示を求めている。地元メディアが報じた。
ジャカルタ特別州のホームページによると、PDPは①38度以上の発熱②上気道感染症があり、かつ肺炎の症状と感染者との濃厚接触か感染国への渡航歴のある人。ODPは①と②に該当するが肺炎の症状がなく、感染国への渡航歴のある人とされている。
保健省の統計では21日時点でPDPは1万6763人、ODPは18万6330人に上るが、いずれも死者数は明らかにされていない。
両者はPCR検査を受けていないか、受けたとしても検査結果を待っている状態にあるため、新型コロナの感染は確定していないが、IDIのスラマット・ブディアルト副会長は「PDPの70~80%が感染していると思われる」と指摘している。
保健省が公表している死者数をめぐっては、ジャカルタ特別州で3月に埋葬された人数と同州内で確認された新型コロナによる死者数の間に著しい乖離があるとして、アニス・バスウェダン・ジャカルタ特別州知事も疑問を呈していた。
地元メディアによると、ジャカルタ特別州では3月7日~4月17日までの間に1117人が、新型コロナによる死者と同様の手順で埋葬されている。一方、保健省の統計では、同州における17日時点の死者は250人となっており、867人の開きがある。
じゃかるた新聞が4日、新型コロナによる死者を埋葬している西ジャカルタの共同墓地を取材した際も、検査を受ける前に死亡して埋葬されたODPの男性が確認されている。(高地伸幸、写真も)