日本人学生が退院 「疑いあれば隔離」 ジョクジャ
ジョクジャカルタ特別州の病院で新型コロナウイルスの感染が疑われ、院内に隔離された大阪産業大学の学生が8日、退院した。検査で陰性が確認された。同行した教員と共に、9日に出国する予定。病院側は「インドネシア政府は新型コロナウイルスの感染拡大を特別警戒しており、疑いがある人は保護、隔離する必要がある」としている。
隔離された学生は同大の非公認団体に所属、ジョクジャカルタの大学と協力し、同州で運動会を開く国際協力活動を企画していた。団体を率いる同大教員やメンバーの学生と共に、2日午後11時半ごろ関西国際空港を出発。同日、インドネシア政府が日本人と濃厚接触したインドネシア人2人の感染確認を発表したため、現地の大学側と協議し、到着後に病院で健康診断を受けることを決めていた。
一行はシンガポールを経由し、3日にジョクジャカルタに入った。道中、この学生が「機内が寒く」、腹痛を訴えたが、ジョクジャカルタ到着時までに回復した様子だったという。空港で行われた体温確認では異常が見つからなかった。
同日午後、教員1人と学生8人の計9人で、ドクター・サルジト病院の健康診断を受けた。この際に病院が学生1人の発熱を指摘し、隔離病棟への入院を決定。ジャカルタ特別州にある専門機関に学生の血液サンプルなどを送った。8日までにこの機関で陰性が確認され、隔離が解かれた。
ドクター・サルジト病院で広報を担当するバヌ・ヘルマワン氏は7日、本紙取材に対し、「学生には38度の熱と咳の症状があった」と指摘。「コロナウイルスが確認されている国から来たため、監視する必要がある」と説明していた。
教員によると、学生の体温は3日夜の測定時に平熱に戻っていた。病院側からは「隔離は念のための措置」と説明され、入院中に差別的な待遇を受けたことはなかったという。
一方、他の8人は3日、チェックインしていたホテルから宿泊を拒否され、一時病院での待機を余儀なくされた。在インドネシア日本大使館が提示していた24時間対応の緊急連絡先に複数回電話したが、つながらず、在留邦人と本紙の仲介で大使館職員の連絡先を入手。相談しながら深夜に代わりのホテルを見つけた。この緊急連絡先については、4日に大使館が回線障害を確認し、代替の連絡先を提示している。
健康診断で異常がなかった学生たち7人は6日までに、インドネシアから出国した。団体が企画していた運動会は中止になったが、今後の開催に向け準備する方針だ。(大野航太郎、写真も)