初の国内感染確認 新型コロナウイルス 日本人から感染か
ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は2日、インドネシア国内で初めて新型コロナウイルスの感染者を確認したと発表した。西ジャワ州デポック市に住む64歳の女性と31歳の娘で、保健省は交流があったマレーシア在住の日本人から感染したとみている。
マレーシア保健省は2月28日、同国に在住し、1~2月に日本とインドネシアを訪れた日本人女性(41)の新型コロナウイルス感染を発表していた。インドネシア政府はこの日本人についての情報を明らかにしていない。
テラワン・アグス・プトラント保健相によると、娘はダンスの教師をしており、この日本人と友人関係にあった。娘は2月14日に日本人と一緒に踊り、せきなどの症状が出たため16日にデポック市内の病院で医師の診察を受けた。その後も咳が止まらず、治療を続けていた。
病院はコロナウイルスの感染を確認できていなかったが、28日にこの日本人側から娘に対し、マレーシアで感染が確認されたことについて連絡があり、その後の診療で親子の感染が見つかったという。現在親子は北ジャカルタの感染症病院(RSPI)「Prof・Dr・スリアンティ・サロソ」に隔離され、治療を受けている。
地元メディアによると、警察は親子の自宅で消毒作業を行い、感染拡大を防ぐ方針だ。場所の詳細は明らかにしていない。
インドネシア人感染者をめぐっては、シンガポールで働いていた女性や「ダイヤモンド・プリンセス」の乗員の感染が確認されていたが、国内での感染確認は初めて。
■UI生に不安感
親子が居住していたデポック市には、インドネシア大学(UI)のキャンパスがあり、日本からの留学生も多く在籍する。
山梨県立大学からの交換留学生で、昨年8月から在籍する井出麻乃さん(20)は「(ニュースを見たとき)自分が感染することより、今回の件で日本人に厳しい目を向けられるのが怖くなった」という。「(コロナ騒動が始まってからは)道を歩いているとき、『コロナ! コロナ!』と言われた友達もいた」
市内の緊張感の高まりもある。別の男子学生は「(2日に)カフェで勉強しようとしたら(店員から)出身や在住期間などを詳しく聞かれた。警戒態勢ではないが、その類いのものが始まっているのでは」という。「今後カフェに入れなくならなければいいが……」とこぼした。(大野航太郎、写真も)