抗議でイオン臨時閉鎖 東ジャカルタ 「洪水原因」、攻撃の的に
イオンモール・インドネシアは25日、複合開発地域ジャカルタ・ガーデンシティ(JGC、東ジャカルタ・チャクン)店で、「JGCの開発が周辺の洪水を深刻化させている」などと訴える地元住民数十人の抗議活動を受け、午後1時までに同店を閉鎖した。住民らの一部は石を投げるなど過激な行動を取り、モールや入居レストランのガラスが割れるなどの被害が出た。イオンモール・インドネシアの礒部大将社長は本紙の取材に応じ、26日にも営業を再開する方針を示している。
周辺地域は年初から洪水が多発。25日も前夜から降った大雨の影響で、道路や住宅地が冠水していた。都市開発や経済格差への不満が、JGCのランドマークであるイオンモールに向けられたもようだ。
デモに参加した、チャクンで生活雑貨を販売する自営業の20代女性は、「洪水で品物の多くがだめになった。JGCからの排水が私たちの家の方に流れてきていると聞いた。生活に困る私たちの被害を伝えたくて来た」と話した。
だがJGCの開発は、インドネシア企業モデルンランド・リアルティが行っている。礒部社長は、これまでも自治体の代表者らと協議し、開発に関わる要求はモデルンランド側に行うべきだと説明してきたという。「今回、デモ隊は朝からモデルンランドの事務所に抗議に行った。認識は伝わっており、うちは大丈夫かと思っていた」
しかし予想は外れた。「事務所にマネージャーがおらず、住民たちは十分に協議できなかったようだ」。〝振り上げた拳〟の行き場をなくしたデモ隊が、イオンモールに目を付けやってくる。到着前にデモ隊が来ることを察知した礒部社長は、午前11時頃から段階的にモール内の店舗を閉め、午後1時にはモール全体を閉鎖した。
到着後のデモ隊が塀の外から石を投げたり、標識を壊したりし、午後4時ごろまでには警官約100人が配備された。午後5時までにはデモ隊の姿は見えなくなった。
礒部社長は「1月の洪水を含め、これまで地元住民に支援や協力を行ってきた」と説明。「今回デモを行ったのは、今まで話してきた人よりも若い層の可能性がある」。引き続き住民側と協議し、営業を続けていくという。(大野航太郎、写真も)