邦人含む118人の入国拒否 新型ウイルス イ帰りの人が感染確認
インドネシア政府は21日、新型コロナウイルスの感染の疑いがあるとして、これまでに、日本人を含む外国人118人の入国を拒否したことを明らかにした。保健省疾病予防・管理総局幹部のアフマド・ユリアント氏が記者会見でじゃかるた新聞の質問に答えた。同ウイルスの感染拡大に関連し、日本人の同国入国拒否が確認されたのは初めて。
ユリアント氏は、法務・人権省との会議で得た情報として「118人は国外退去ではなく、入国を拒否された。大部分は中国本土の人だ」と語った。発熱、せきなどの症状があり、検疫を受けるなどして、入国を拒否されたという。
会見後の囲み取材で、入国を拒否された日本人の人数について重ねて聞いたが、同氏は明言しなかった。しかし「日本人は日本から直接到着したのではない。マレーシアを経由して来た。中国人も直行で着いたのではない人が多い」と述べた。
ユリアント氏は、これらの外国人の入国場所場所は「(首都)ジャカルタ、(バリ島の)デンパサール、(スラウェシ島の)マナド、マカッサルなど複数の都市だ。最近の中国人の例は、(スマトラ島の)パダンだ」と話し、全土で防疫に務めていることを示した。
■中旬に旅行の60代
入国拒否の発表とは別に、インドネシアを今月中旬に旅行した東京の男性が帰国後、感染を確認された、との情報も流れた。
東京都が22日、都内の医療機関から報告があった新型コロナウイルスに関連した感染症の症例として、都内に住む60代の施設職員の男性が12日に発症した、と発表した。発熱、せき、呼吸困難の重篤な症状があるという。
NHKによると、都が22日に感染を発表した男性は、12日に風邪のような症状が出て医療機関を受診、肺炎とは診断されなかったため帰宅し、13日に勤務先の老人保健施設に出勤した。14日に自宅で過ごした後、15日から家族とともにインドネシアに旅行に行った。日本に帰った19日から都内の医療機関に入院しているという。
じゃかるた新聞は、インドネシアでの滞在先などを確認するため、インドネシア保健省と東京都に問い合わせを行っているが、23日夜までに回答はない。
インドネシア政府は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、5日以降、中国本土からの航空便の運航停止や,過去14日間に中国滞在・訪問歴のある渡航者の入国と乗り継ぎを禁止する措置をとっている。
保健省はこれまで、インドネシア国内で感染を確認された人はいない、と発表している。
■クルーズ船員帰国へ
インドネシア政府は、新型コロナウイルスの集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に所属するインドネシア人乗組員を帰国させることを計画している。
保健省によると、横浜港に停泊している同船には78人のインドネシア人乗組員が所属しており、うち4人が感染を確認され、千葉と東京の医療機関に入院している。
保健省疾病予防・管理総局のユリアント氏によると、帰国の手段としては、航空機か船舶が検討されており、入院中の4人を除く74人が対象となる。同氏はダイヤモンド・プリンセス船内での感染率の高さを指摘。帰国する乗組員には「これまでの14日間の2倍の28日間の経過観察が必要になる」と語った。(米元文秋、写真も)