製造業への影響じわり 新型コロナウィルス 部材なく、長期化に不安

 新型コロナウィルスの感染拡大が、インドネシアの日系製造業に影響を及ぼし始めている。日本貿易振興機構(ジェトロ)の2019年度「日系企業実態調査」によると、現地日系製造業が使用する部材のうち、平均7・2%を中国から調達しており、影響が長期化すれば国内での生産が滞る懸念もある。

 西ジャワ州ブカシ県チカランに工場を持ち、発泡プラスチックの加工・製造を行う日系企業は、3月までに生産ラインを新設し、月産能力を1・5倍に引き上げる計画だった。だが新型コロナウィルスの影響で必要機材を中国から持ち出せなくなり、計画は延期を余儀なくされたという。同社社長は「4月末、(せめて)レバランまでに稼働できれば良いが……」とこぼす。
 また中国に依存する原材料が、現地工場の稼働停止で調達できず「1カ月分の在庫はあるが、長期化すれば生産ができなくなる」。現在他の調達先を探すなど、対応を急いでいる。
 一方、同県で自動車用断熱材を製造する日系企業は、停止したグループ会社の中国工場の生産分をインドネシア工場で請け負っている。「短期的な売り上げは上がるが、増員が必要になる。国内では簡単に解雇などできず、『ありがた迷惑』な面がある」。当面の材料調達のめどはついているとし、「直近で危機的な状況ではない」という。だが、「長引けばどうなるかわからない」との不安が拭えない。
 同県の金型製造の日系企業経営者は、「中国側との取引が止まり、インドネシア工場の生産ライン停止を考えている同業者もいる」と話した。
 日系大手自動車メーカーは「現状として生産に大きな影響はない」とする。影響長期化への懸念を含め、引き続き情勢を注視していくという。
 新型コロナウィルスは昨年12月から感染が広がった。中国政府によると、20日までに7万4576人の感染と2118人の死亡が同国内で確認された。インドネシア政府は中国に滞在・訪問歴のある渡航者の入国禁止や、航空機の運航停止などの措置をとる。
 日本や東南アジアで感染が拡大する一方、インドネシア政府は国内感染を確認していないとしている。インドネシア側が今後、中国以外の国とも行き来を制限する措置をとる可能性もある。
※ジェトロ調査
 昨年8月~9月に実施され、現地調達率に関する質問では297社が回答。部材調達先で中国が占める割合が5・3%だった16年と比べ、増加している。(大野航太郎)

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