「波打ちながらも成長」期待 日野・内田真人新社長
日野モーターズ・セールス・インドネシア(HMSI)の社長に内田真人さん(54)が就任した。18日、本紙取材に応じた内田さんは、国内市場について「波打ちながらも確実に成長していく」と期待。「売って終わりではない」、メンテナンスやサービスを充実させる。
内田さんは千葉県出身。大学卒業後は大手銀行に勤め、マレーシアに赴任した。「(取引先を通して)メーカーが海外オペレーションをする楽しさを知り、帰って直ぐに転職活動をした」。2003年に日野自動車に入社し、08年からタイ現地法人に出向。13~16年には本社インドネシア事業部の初代部長を務め、日本からインドネシア市場と向き合った。
インドネシアについて「これから内需全体がどんどん活発になる」と期待を寄せる。国内物流網は発展途上だが、今後長距離での商品輸送が増加すると予想する。商品の品質や期限を守るため、予防的な整備がより重要になっていくとみる。
1月生産分からは、トラックの位置情報や走行速度を遠隔で確認できる通信機器を標準装備として搭載。通信料を同社側で負担し、顧客となる輸送業者がサービス向上への取り組みを導入しやすいよう配慮した。「市場に出たのはまだ数十台だが、これから増えていく。顧客の反応が楽しみ」という。
また買い換えず長期間使用できることで、顧客側のコスト抑制につながると指摘。「オーバーホール(分解修理)なしで100万キロ走った(インドネシアの)お客さまもいる。月までが約40万キロ。整備さえきちんとすれば、(同社のトラックには)それくらいのポテンシャルがある」
昨年実績(小売りベース)では、中・大型トラックで1万7004台を売り上げ、62%の市場シェアを持つ。内田さんは、インドネシアでテストを重ね、日本にはない「専用車」を投入してきたことが、顧客からの支持獲得につながったと見る。「インドネシアを重要市場に定め、開発してきた先輩たちのおかげ。足回りが頑丈で悪路や過酷な稼働条件に耐える設計など、顧客のニーズを反映してきた」
19年の国内自動車販売台数は、全体で前年比約10%減となった。内田さんは今年の見通しについて「中国でのコロナの影響を受けないことはない。昨年以上になれば良しとする」と話した。顧客との緊密な関係を維持して販売を進めることが重要だとしている。
(大野航太郎、写真も)