最上層立ち入り制限 ボロブドゥール寺院 相次ぐマナー違反受けて

 ボロブドゥール遺跡保護局(BKB)は13日から、ユネスコの世界文化遺産にも登録されているボロブドゥール寺院(中部ジャワ州マグラン)の9、10階部分への立ち入りを無期限で制限した。観光客による落書き、ストゥーパ(卒塔婆)やレリーフ(彫刻)によじ登るなどのマナー違反が増え、破損が相次いでいるためという。
 BKBによると同寺院の最上層となる9、10階部分には落書きのほか、ガムを貼り付けたりタバコを揉み消した跡や、遺跡の表面が削れるなどして破損した箇所が1246件見つかった。観光客がセルフィー(自撮り)を撮る為にストゥーパによじ登ったり、ポイ捨てなどのマナー違反も指摘されている。BKBは立ち入りを制限する間、これらの行為が寺院の構造へ悪影響を及ぼしていないかなどを調査するという。
 崩壊の危機に瀕していたボロブドゥール寺院はインドネシア独立後、ユネスコが改修工事を主導、1980年からは日本が技術協力し、91年に世界文化遺産に登録された。BKBによると、同寺院には観光客が年間約400万人が訪問。週末にジャカルタから行ける観光地として、在留邦人の間でも人気が高い。
 ただ、旅行業界では、今回の制限に伴う観光への影響は限定的との見方が強い。旅行代理店ビーウィッシュツアーの松田哲也さんによると、16日時点で立ち入り制限に伴うツアーのキャンセルなどは発生していない。日の出・日の入りツアーを一手に請け負うマノハラ・リゾートの担当者も「寺院の一番上まで行かなくとも、十分きれいな景色が見られる」と楽観的だ。
 日本旅行インドネシアの水柿その子さんは「立ち入り制限は残念だが、マナーの意識付けをするには、仕方がないこと」と指摘した。(高地伸幸)

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