日本の食を売り込め! 岡山のブドウ、白桃 新興国に活路 県知事がトップセールス
市場の縮小が進む日本から海外へ飛び出し、アジア市場への売り込みを図る動きが日本の地方自治体でも広がる中、岡山県産果物の輸出促進を図ろうと、同県の石井正弘県知事や内山登・県議会議長、県職員ら代表団7人が先月31日から1日まで、ジャカルタを訪問した。1日には、在インドネシア日本大使館がインドネシアで事業展開する小売業者やホテルなどの関係者を集め、南ジャカルタの駐インドネシア大使公邸で代表団との意見交換会を開催。県を代表する白桃やブドウのおいしさをアピールした。(堀田実希)
みずみずしい白桃や、濃い紫色と黄緑色の大粒のブドウの実が光る。「瀬戸ジャイアンツ」など、岡山県が独自に開発した品種もある。石井知事自ら「このシャインマスカットは種もなく、皮も食べられます。贈り物としても人気なんですよ」と宣伝。ホテル関係者らは一口、また一口と手を伸ばし、「うちは日本人の顧客も多い。おいしい岡山の果物を使えば、ホテルのブランド価値も上がりそうだ」と前向きに評価した。
岡山県産の果物はシンガポールやタイ・バンコクの伊勢丹で販売されていることもあり、知る人ぞ知るブランド商品になりつつある。「前から興味はあった。味を知る良い機会になった」と語る参加者もいた。
■高級桃を次々購入
さまざまな分野で国内市場の縮小が進む中、岡山県農林水産部は新たな市場を求め、農政企画課に対外戦略推進室を設置。2007年から、タイや台湾、マレーシア、シンガポールなどでトップセールスツアーを行い、地元百貨店などで知事自らが商品をアピールしてきた。
石井知事によると、農家や農業団体は新興国での評価を聞いて希望を持ち、後継者育成に力を入れるようになったという。
今回は、富裕層が増えているインドネシアを訪問地として選択。ジャカルタ入り前日の30日には、シンガポールでも商品説明会などを行った。
1日午前には、岡山県産白桃とブドウ5種の販売を開始した南ジャカルタの高級スーパー「ケムチックス」クマン店を視察。一個30万ルピアの白桃を次々と買い物かごに入れるインドネシア人主婦もいたという。
対外戦略推進室の吉本誠一郎室長は「思った以上に富裕層が多いこと、購買力が高いことに驚いた。これからの展開が楽しみだ」と期待を寄せた。