ナトゥナで漁業施設、船舶提供 中国漁船違法操業で 日本
リアウ諸島州ナトゥナ諸島付近の中国漁船の違法操業をめぐり、日本はインドネシアに漁業施設の建設や監視用船舶の提供を行う方針だ。22日、石井正文・駐インドネシア日本大使が、中央ジャカルタの日本大使館で行われた邦人向けセミナーで明らかにした。
石井大使はスピーチで中国漁船問題に言及し、まず「(インドネシア側に)ナトゥナの開発について日本は本腰を入れてやってくれと言われている。これはやっていきたいと思っている」と話した。
その上で石井大使は「今年中には漁港、漁業施設のようなものを作ることになっている」、「今年中には日本で退役する漁業監視船のようなものをインドネシアに、という話も今進んでいる」などと指摘。「いろいろ組み合わせながら、彼ら(インドネシア)の主権的な権利に関わるような部分について日本が助ける姿勢を示すのは大事かなと思っている」と話した。
ナトゥナ諸島付近の海域ではインドネシアが主張する排他的経済水域(EEZ)と、中国が主張する「九段線」が一部で重なっている。日本側にはインドネシアと組み、中国の拡張路線に対抗する狙いがある。第2期ジョコ・ウィドド政権は経済開発で中国からの投資を重要視しているが、中国と対立を抱えるナトゥナ諸島に関しては日本を頼ろうとしている。
外務省によると、昨年12月以降、複数回にわたり中国の漁船が海警局の船舶を伴いEEZに侵入、操業した。政府は中国側に抗議し、軍艦や戦闘機の派遣を行って対抗してきた。ジョコ大統領は今年1月に茂木敏充外相と会談し、ナトゥナ諸島の開発協力を進めることを確認していた。(大野航太郎)