薄れるイへの有望視 得票減らし5位 JBIC調査

 国際協力銀行(JBIC)が2019年に行った日本の製造業向け海外直接投資アンケート調査の有望事業展開先ランキングで、インドネシアは得票数を減らしながら3年連続5位となった。2013年に1位に輝いたが、現地市場の成長性に対する注目も薄れてきており、来年には「6位に転落する」との予想も聞かれる。

 同ランキングへの回答社数は404社で、18年の431社よりも減った。「中期的(今後3年間程度)に有望と考える事業展開先国名」を5カ国まで聞いた。順位では米中摩擦の影響で17年、18年に首位だった中国が2位(得票180社)に転落。インドが3年ぶりに1位(193社)になった。
 中国からアジア各国に目線が移り、ベトナム(4位、147社)、フィリピン(7位、48社)、マレーシア(10位、41社)が票を微増させた。一方、インドネシアは29社減らして5位(102社)を維持した。
 インドネシアへの進出における課題に関する問いには「他社との厳しい競争」、「労働コストの上昇」、「法制の運用が不透明」などの回答が上位に挙げられた。
 また、有望理由で8割以上の回答を集めていた「現地マーケットの今後の成長性」が18年以来10%ずつ低下し、約6割まで後退している。JBIC調査部の春日剛氏は「マーケットの規模に期待が集まる一方で、現地での事業が難しく、日本側に『期待疲れ』が出てきているのではないか」と話した。
 また日本企業の海外展開意欲が近年、減少傾向にあり、「主要マーケットの中国、欧州、北米を抑え、難しい国を避ける状態があるのでは」と話した。
 今回調査では米国が29票減らし6位(93社)にとどまったが、来年にかけ米中貿易摩擦が解消に向かっていけば「米国に抜かれ、インドネシアが6位に転落する。インドネシアが(日本側の)視界から消えかけている」(春日氏)。
 調査は19年6~9月、海外現地法人を3社以上(うち製造拠点1社以上)持つ企業を対象に行われた。
 同調査の報告会は21日、中央ジャカルタで開かれた。 (大野航太郎、写真も)

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