タマンアングレック停電中 「I LOVE JKT」消え、ゴーストタウンに
1日にジャカルタ首都圏(ジャボデタベック)広域で発生した洪水により、西ジャカルタのモール「タマンアングレック」が停電し、8日現在も復旧していない。ショッピングモールのほか、36階建ての8棟から成る同モール上部のアパートも全棟が停電し、復旧のめどは立っていない。
8日午前10時半ごろ、本来なら開店直後であわただしいはずの同モールでは、内部の電気は消え、従業員の姿はなかった。ロビーに警備員と雨宿りに来た人が数人いるだけで、閑散としていた。
モールの裏では消防車3台が待機しており、作業員が地下駐車場に残った泥水を清掃していた。国営電力会社PLNの電力供給車3台が停まっていた。
モールの管理事務所は電話の通じない状況が続いている。地元メディアによると、停電はモール地下にある配電設備と非常用電源が冠水して故障したことが原因という。
「I LOVE JKT」や巨大広告でおなじみの、同モール外面に設置された大型電子掲示板も消灯している。
水も電気も使えないため、アパートの住民はほとんどが避難した。
住人の一人、高橋秀幸さん(48)によると、1日夜、休暇先から帰宅すると、アパート全体の電気が消えていた。エレベーターも停止していたため、階段で35階の自室まで戻り、夜を明かした。
電力供給は翌2日になっても復旧せず、家の電気や水道も使えないまま。通常、非常用階段の扉は内側から開けられないようになっているが、エレベーターが使えないため、開錠されていた。不特定多数の人がアパート内に入り込める状態で、廊下にはいっさい光が差し込まない。「まるで幽霊アパートだった」と高橋さん。高橋さんは貴重品などをまとめて避難し、現在は友人の家に泊めてもらっている。
高橋さんによると、8日までにエレベーターの一部と廊下の照明が復旧したものの、各部屋への電力供給は止まったままだ。管理事務所は「非常用電源の復旧には約半年を要する」と話したが、電力供給の再開時期については説明がないと言う。
地元メディアによると、PLNは7日現在で、ジャカルタ首都圏とバンテン州にある変電所の98・7%が復旧していると発表。ジャカルタ特別州内では5カ所の変電所が停止している。(高地伸幸、写真も)