本を出版、ベストセラーに 日本留学中のユーチューバー
日本に留学中で、ユーチューブ・チャンネル「日本語・マンタップ(Nihongo Mantappu=「日本語最高」という意味。Mantap=最高=は、日本語風にMantappuと表記)」で多くの登録者を持つインドネシア人大学生、ジェローム・ポリンさん(21)が本を出版し、人気を呼んでいる。
本の題名は「マンタップ・ジワ(Mantappu Jiwa=「人生最高」という意味)」。8月に出版して以来、大手書店「グラメディア」でベストセラーになった。12月現在も、多くの店で人気ランキングのトップ10入りしている。
ジェロームさんはジャカルタで生まれ、6歳の時に東ジャワ州スラバヤへ移った。小学2年生の時からすでに、外国で勉強したいという夢を抱いていた。「マンタップ・ジワ」は、その夢をかなえるまでの道のりや人生訓を書いた本だ。
ジェロームさんは高校生の時に外国留学を志すが、家庭の事情により、全額給付の奨学金を探した。シンガポールの難関大学に合格するが、奨学金は得られなかった。このため、シンガポール留学はあきらめ、三井物産インドネシアの奨学金の試験を受けたところ、8645人の中から、合格者2人のうちの1人に選ばれた。
夢がかなって2016年に日本へ留学。そこで初めて日本語の勉強をして、約1年後の2017年に日本語検定1級に合格した。現在、早稲田大学基幹理工学部応用数理学科の2年生だ。
本の中では、自らの人生を数学の問題に見立て、「数学の問題を解くようにして、一つずつ問題解決してきた」と語る。本の中にもさまざまな数式が登場する。
「数学みたいな問題でいっぱいの、僕の人生のジェットコースターに乗ってみよう! 楽しいばっかりじゃないけど、乗る価値は保証するよ」
軽快に進む物語に、読者の多くは「ページをめくる手が止まらず、最後まで読んじゃった」などとコメントしている。
本の中でジェロームさんは「努力は必ず実る」と繰り返し語る。
ジェロームさんの将来の夢はインドネシアの教育相になることだ。「インドネシアでは、将来の職業として医者やエンジニアが人気で、教師の地位は低い。しかし日本では、教師は安定した職業で、教職を取っている人も多いのに驚いた」と語る。「教育相になることができたら、教師の待遇を上げ、教師の質を向上させたい」
ユーチューブ・チャンネル「日本語・マンタップ」を作ったきっかけは、日本語を学習する中で、インドネシア語の日本語教材が十分でないと感じたためだそう。「店員さんを呼ぶには『すみません』と言います」など、実用的な日本語の紹介から、キャンパスライフなどを紹介している。チャンネル登録者数は現在、約232万人。(加藤ひな子)