プロ囲碁棋士誕生 インドネシア人で初 日本棋院
囲碁の日本棋院は16日、インドネシア国籍のフィトラ・ラフィフ・シドキさん(17)を、来年4月からプロ棋士として採用すると発表した。初のインドネシア人プロ棋士が誕生する。
日本棋院によると、フィトラさんは、小学生のころからプロ入りを目指していた。「周りにも(プロになりたいと)よく言っていたので、正直ほっとしています。インドネシアで囲碁を広めるため、まずは強くなって(日本国内で)活躍したいと思います」というコメントを出した。
フィトラさんは日本で生まれ、囲碁好きの父親の影響もあり、東京都小金井市の子ども向け囲碁教室に通った。全国大会「第11回文部科学大臣杯 小・中学校囲碁団体戦」に2人の弟とチームを組んで出場し、2013年と14年に2年連続準優勝するなど頭角を現し、16年に日本棋院の院生となったという。
囲碁の国際的な普及を目的として日本棋院が定める「外国籍特別採用棋士制度」からのプロ入りとなる。同制度は日本棋院が「囲碁先進国」と定義する中国、台湾、韓国、北朝鮮以外の国籍を有する人が対象で、プロ棋士採用試験で勝率5割以上を収めることが条件。フィトリさんは、ことし11月に行われた「令和2年度冬季棋士採用試験」で9勝5敗し、同制度の条件を満たした。
同制度でのプロ入りは、16年に採用されたフィンランド出身のアンティ・トルマンさん以来となり、3年ぶり。
令和2年度冬季棋士採用試験ではフィトリさんのほかに、マレーシア出身のチャン・フーカンさん(16)が、外国籍特別採用棋士制度でプロ入りを果たした。
インドネシアの競技人口は約千人。1994年、国際交流基金主催の囲碁講座参加者らが中心となり、囲碁連盟「フェデラシ・イゴ・インドネシア」が設立された。ジャボデタベック(首都圏)を中心に、囲碁教室や大会を主催している。
国際囲碁連盟の14年6月時点の統計によると、世界の囲碁の競技人口は約4千万人。東南アジア諸国連合(ASEAN)の競技人口では、タイが最多の100万人に上る。(高地伸幸)