「人間を支えた」「忘れない」 中村哲さんの死悼む インドネシアのアフガン難民

 「彼を決して忘れない」——。人道支援に取り組む非政府組織(NGO)「ペシャワール会」の医師中村哲さん(73)が4日にアフガニスタンで殺害されたことを受け、インドネシアに身を寄せるアフガン難民の間でも悲しみが広がっている。
 ザビフッラー・フセイニさん(27)=ジャカルタ特別州=は、中村さんが活動した東部ナンガルハル州の出身。以前から中村さんのことを伝え聞いていた。今回の事件の報に「言葉が出なかった。とても偉大な人を亡くした」と喪失感を語る。アフガンにいる家族と連絡を取り、現地の追悼行事の様子を聞いたという。
 中村さんについて「地元なまりで『カカムラ』と親しまれていた。地元の文化を尊重し、パシュトゥー語を勉強され、とても流ちょうだった」と敬意を表す。中村さんが建設した水路によって「誰もが信じられないくらいに緑が広がった」。モスクや学校もつくり「地元はすごく変化した」と振り返る。
 「人間をケアし、支えてくれた。このような偉大な人はほかにいない。すべてのアフガン人が悲しみに包まれている」。インドネシアにいるアフガン難民らと追悼の催しを開こうとしたが「入管当局が許してくれなかった」と言う。
 アフガン東部のガズニ州出身のアリ・ナツキさん(27)=バタム州=は、中村さんの事件をSNSで知った。「いつも私たちを支えてくれた人に対して、とても申し訳なく感じている。私たちに必要な人物だった」と悔やんだ。「どんな世代にもチャンスを与えることに、自己犠牲を惜しまなかった。そのような人は世界中にほとんどいない」と感謝を口にする。
 ツイッターで事件や追悼のことをリツイートし「中村さんのことを広く知ってもらえたら」と話した。
 アリさんは高校を卒業後、地元の治安が不安定になり、インドネシアに逃れて約5年。地元と中村さんの活動地域は離れていたが、「過酷な状況で一生懸命に頑張ってくれた」と悼んだ。

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