頭部切断、牙抜かれる リアウ州の森林 スマトラゾウ密猟か
リアウ州バンカリス県のタシクスライ村の森林で18日、絶滅危惧種のスマトラゾウが、頭部を切断された状態で発見された。頭部から牙がなくなっており、鼻が切断されていた。同州の自然資源保全センター(BBKSDA)が19日、明らかにした。密猟とみている。
BBKSDAによると、ゾウは推定40歳のオスで、死後1週間が経過していた。銃殺や毒殺、罠にかかった痕跡はなく、死因は不明。死骸が見つかったのは、紙の原料となる木を栽培する会社が所有する森林だという。
またアンタラ通信によると、アチェ州東アチェ県のアブラヤシ農園の敷地で21日、推定25歳のメスのスマトラゾウの死骸が発見された。死因は毒殺で、象牙目当ての密猟者が設置した毒を口に入れたとみられる。
スマトラゾウは、南アジアや東南アジアに生息するアジアゾウの亜種で、アチェ州を中心にリアウ州や南ランプン州などに生息している。国際自然保護連合は2012年、絶滅の恐れのある野生動物のリスト「レッドリスト」の中で、スマトラゾウを最高位の「近絶滅亜種」と認定している。
■4年間で150頭殺害
動物愛護団体の関係者によると、スマトラゾウの個体数はおよそ10年前の約2400頭から約1400頭に激減している。過去4年間で約150頭のスマトラゾウが殺されており、ほとんどが象牙目当ての密猟とみられる。
アブラヤシ農園や紙パルプ製造企業の森林開発地内で死骸が発見されるケースも多く、関係者は「企業の警備員などと密猟者が結託している場合がある。大企業の責任を追及しなけらばならない」と話した。
野生動物の取引を調査・モニターする非政府組織(NGO)トラフィックの報告書によると、11~16年に日本から国外へ違法に輸出された象牙約2・42トンが押収された。また、中国に違法に輸入される象牙の95%は日本から入っているとされ、東アジアにおける違法象牙取引の一大中継地点となっている。(高地伸幸)