映画祭上映作品に出演 吉田美佳子さん(20)
「日本映画祭(JFF)2019」(主催・国際交流基金アジアセンター)で日本に先行して上映している、セリフなしのオムニバス映画「エンジェルサイン」(北条司総監督)に出演し、ジョクジャカルタ特別州でロケを行った。
中学3年時に故・つかこうへい氏原作の舞台「飛龍伝」を見て、女優の世界に飛び込み、2015年にデビュー。舞台を中心に活躍し直近では「フラガール」に、テレビではドラマ「トクサツガガガ」(NHK総合)に出演するなど役者としての幅が広がってきた。
6つの物語を通し、愛する人との別れを経て気持ちを受け継ぎ、未来に踏み出していく人々の姿を描いたエンジェルサインでは、父と死別した娘を演じた。セリフがない映画も、海外ロケも初めて。絵コンテで書かれたイラストなどから、「登場人物の生き方の背景や、『なぜそこで涙が流れるか』など、シーンそれぞれでの伝え方を考えた」。
13日間滞在したジョクジャカルタ。「初めて来たのに原風景のように感じられて居心地が良く、懐かしい思い」を抱いた。
撮影現場では、覚えたてのインドネシア語でスタッフにかかさずあいさつすることを心がけた。インドネシア人監督とは英語でのやりとりになった。「リハーサルを重ねる内に監督が泣いた。言葉だけでなく演技でつながっている」と感じた。セリフがないからこそ言語を越えて、普遍的なテーマを伝えられた。
都内の大学の英文科に通い、中国語も学ぶ。女優業との両立のこつは「考えすぎないこと」。「ことば」を扱う仕事において、日々の生活での発見がプラスに働く。意欲的かつ自然体で、アジアに、世界にはばたくことを目指す。(平野慧)