各地でデモ、平穏に メーデー ライブなど娯楽色強く
メーデーの五月一日、全国各地で労働組合によるデモが行われた。年初に労組デモが激化した結果、最低賃金引き上げにつながった首都圏では、デモ隊は福祉の向上を掲げて行進した。競技場でイベントが行われるなど娯楽色が強く、地方でもおおむね穏やかにデモが行われた。
ジャカルタでは午前九時、労組がホテル・インドネシア(HI)ロータリー前でデモを開始。一部は大統領宮殿に向かい、ほかは市内を巡回。タムリン・スディルマン通りで深刻な渋滞を引き起こした。
今年は初めて、労組がブンカルノ競技場で「ハリ・ブル(メーデー)イベント」を主催。労働者約五万人が入場。入場料は三万ルピア。スタジアム内に設置されたステージから、プロの司会者が労組の結束を呼び掛ける。祭典は国歌斉唱、労組歌の斉唱に加え、ライブ音楽などの娯楽がついた。人気の社会派バンドのスランクが一時間半にわたって演奏。イベントの一部を民放TVワンなどが中継した。
今年の首都圏労組の要求は主に福祉など労働環境の向上に当てられた。全国労組の全インドネシア労働組合総連合(KSPSI)、インドネシア福祉労働組合連合(KSBSI)インドネシア労働組合連盟(KSPI)などは連名で、(1)二〇一五年までに全国民に医療を行き届かせる(2)二〇一四年までに退職金を保証(3)適性生活水準(KHL)の引き上げ(4)派遣・請負労働の廃止(5)住居、教育、健康、交通に関する費用の給付(6)五月一日を祝日にする―を要求。
今年一月に西ジャワ州ブカシで最賃デモを主導した一人、インドネシア金属労連(FSPMI)ブカシ支部長のオボン・タブロニ氏は「(最賃デモ以降決まった)今年の最低賃金を順守していない企業が多数ある。アピンド(インドネシア経営者協会)との連絡は途絶えており、説明をもらっていない。来年のブカシ県は最賃(UMK)で二百五十万ルピア、(自動車などの)セクター1で三百九十万ルピア、(繊維の)セクター2で三百二十万ルピアを目指したい」と語った。
全国の各都市でデモが発生したが、大きな混乱は起きなかった。デモ隊が過激化することの多い南スラウェシ州マカッサルでは、港湾労働者数千人がスカルノハッタ港に集結。国営港湾管理会社第四ペリンド社に対して賃上げ、休憩所の設置などを要求した。州知事庁舎前でも労働者や学生千人が派遣労働の廃止を訴えた。東ジャワ州スラバヤでは労働者数千人がオートバイで市内を行進した。
東ジャワ州シドアルジョのラヤ・ポロン通りでは労働者の車両が道路を封鎖。北スマトラ州メダンでは、労働者数千人が空港前の道路を封鎖し、ガトット北スマトラ州知事との面会を求めるなどの騒ぎが起きた。
また、独立運動がくすぶるパプア州ジャヤプラ県センタニでは、「西パプア機関」のメンバー五十人が公園で集会を開いた。
警察は独立旗「モーニング・スター」を掲揚しようとしたとして、メンバーを強制退去させ、うち十三人を逮捕している。