象徴の橋、再建へ 日本援助で、復興徐々に 中部スラウェシ震災1年
中部スラウェシ州パル市のパル第4橋は「黄色い橋」と呼ばれ、同市の象徴となっていた。中部スラウェシ地震・津波で倒壊した橋の再建へ向け、日本政府は無償資金協力の実施を決定。日本企業が設計から携わり来年4月ごろまでの建設開始が見込まれる。地震発生から28日で1年、徐々に復興が進む現地を歩いた。
パル市役所によると、パル第4橋は2006年にユドヨノ大統領(当時)が開所した。長さは約250メートル。パル湾に架かり、湾部の対岸まで直線で行ける重要な交通路だった。
また、夜にはアーチがライトアップされ、パルの観光スポットにもなっていた。パル市出身、在住の国営アンタラ通信の写真記者、モハンマド・ハムザさん(30)は「交通でも観光でも重要なパルを象徴する橋。夜には橋で多くの人がセルフィー(自撮り)していた」と振り返る。
国際協力機構(JICA)関係者らによると、日本の協力による現地インフラの建設としては最初期の事業となる見込み。再建にあたっては、災害への耐性が最重要視され、デザインは変更される。無償資金協力は5月に発表され、供与限度額は25億円となる。
■テントから住宅へ
同州シギ県ロル村では約3カ月前、県などが提供する仮設住宅の建設を終え、テントで生活していた人々が移住した。4人家族で暮らすスキナムさん(43)は「暑いけどテントよりはずっと良い、食べ物や飲み物は足りており、発生時から考えればずっと良い暮らしをしている」と話した。
パル市バラロアで避難テントに住んでいたリドワンさん(37)は、集めた木材で自分で家を建て、2週間ほど前にオートバイの修理屋を始めた。「まだ稼ぎは少ないけど、できることから少しずつ頑張る」と笑顔を見せた。(大野航太郎、写真も、2面に関連)