KPKの権限、大幅縮小 大統領直轄の監督機関新設 汚職撲滅改正法成立

 国会本会議は17日、ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領が提出した一部改定案を反映させた汚職撲滅法改正案を全会一致で可決した。改正は2002年の同法施行以来、初めて。汚職撲滅委員会(KPK)の地位の事実上の格下げや大統領直轄の監督機関新設などを盛り込んだ法案は、KPK弱体化につながるとして抗議運動が拡大、大統領に法案拒否権を行使するよう訴えたが、議員立法である同法案をほぼそのまま踏襲して施行されることになった。

 改正法で、KPKは、警察や検察より強大な権限を付与されていた独立捜査機関としての地位を失い、中央政府の一部となる行政機関として組み込まれ、事実上の地位格下げとなった。
 KPKの捜査を監視するため、大統領直轄の監督者評議会を新設。KPKが独立した権限を持っていた汚職被疑者に対する通信傍受、公訴、家宅捜索などは、監督者評議会からの許可取得を義務付けた。
 これまで容疑者認定後も起訴されず、数年間にわたり捜査が続けられていたことに対する批判もあり、KPKは捜査停止・不起訴処分を行うと規定。当初1年としていた捜査期間は、ジョコウィ大統領が提案した最長2年を採用した。捜査官の採用方法でも大統領案を取り入れ、警察官や検察官の他にKPKや政府機関の職員からの登用も認めた。
 監督者評議会は大統領が委員5人を指名、任命する。市民からの報告などを受け、KPKの捜査の正当性や捜査におけるKPK幹部の倫理違反などについても審査する権限を付与した。これまで政府高官や議員、実業家らの内偵を進め、賄賂授受現場に踏み込み、現行犯逮捕を行うことで国民の支持を得てきたKPKの権限は大幅に縮小された。
 国会本会議にはヤソナ・ラオリ法務人権相らが出席した。改正案は議員立法として策定されたため、大統領が持つ議員立法に対する法案拒否権行使を求める声が高まったが、大統領は法案の一部変更を国会に要求するにとどまった。
 大統領が所属する闘争民主党(PDIP)やゴルカル党をはじめとする国会多数派の連立与党のほか、野党も賛成に回った。野党のグリンドラ党や福祉正義党(PKS)、民主党、与党の開発統一党(PPP)の4会派は、KPK監督機関の独立性確保などの条件を付けるにとどまった。(蓜島克彦)

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