外国人役職 18分野に 就労可能範囲を拡大 労働大臣令発令
労働省は、外国人が就労可能な役職について定めた大臣令(2019年228号)を8月27日付で公布・施行した。インドネシアへの技術移転を進めることを目的に、外国人の就労可能な業種は18分野に拡大したが、あいまいな点も多く、投資呼び込みへの効果は限定的だ。
労働省は外国人の雇用状況を整備、把握し、就労手続きを簡素化、インドネシアへの技術移転を進めるために大臣令を定めた。昨年4月に発表された、外国人労働者に関する大統領令(2018年20号)の細則に当たる。ジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)や米国、韓国などの商工会議所は数年来、就労可能な役職の範囲拡大を要請してきた。
就労可能な役職は18分野と定められ、さらに細分化される。就労許可取得の段階で書類に記載することになる。従来、名簿化された就労可能な役職はエネルギー分野など限られた業種のみで、他の役職については管轄省庁と労働省が確認して労働許可を与えてきた。
法改正により、就労可能な範囲は広がる。建設部門の場合では、これまで外国人は66種類の役職に就いていたが、地球物理学者や地形学者、測量士など181の分野で申請できるようになった。暫定滞在許可(ITAS)の最長期間は2年間で、条件に応じて延長可能であることは変わらない。
役職の明確化により、当局に役職と業務内容の違いを指摘されるケースの増加が懸念される。今回記載されていない役職についても、柔軟に対応し雇用許可を出すことも認める方針だが、あいまいさを残しており、当局の担当者次第で判断が異なる可能性もある。
インドネシアにおける外国人労働者の数は2018年12月時点で約9万5千人。14年比では約40%増加している。ただ、鉱業や建設業などでの中国人労働者の一時的増加が、全体の数字を押し上げている状態に過ぎない。在留邦人数の伸びのペースも、一時と比較して落ちている。
ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は昨年、外国人労働者の許認可をめぐる複雑な手続きや不透明な法の運用、外国人の管理・摘発などに批判があることを受け、大統領令を出し改善姿勢を示した。同大統領令では、外国人労働者はインドネシア人労働者の補完的役割で、企業の役職に関しては「インドネシア人を優先」と規定。外国人が人事や特定の役職を調整することを禁じると明記している。(本間太郎、平野慧)