拡張工事が着工 スカルノハッタ空港 過密状態解消 第3ターミナル拡充へ
スカルノハッタ国際空港を管理・運営する国営第2アンカサ・プラ社は2日、同空港の第1期拡張工事の着工式を開いた。堅調な経済に支えられて急伸する旅客数に対応できず、これまで過密状態が続いていた。ジャカルタの空の玄関口の拡張は投資の呼び込みや国内経済の活性化だけでなく、東南アジア諸国連合(ASEAN)や東アジアの域内交通の接続性向上にも寄与すると期待されている。
スカルノハッタ国際空港は昨年、年間収容能力の2200万人を大幅に上回る5110万人が利用し、今年はさらに多い5870万人の利用が見込まれている。今回の拡張工事により、収容能力を数年以内に7100万人にまで引き上げる。
拡張計画は、2025年までの経済成長促進・拡大マスタープラン(MP3EI)の推進を支える国家プロジェクトの一つ。第3ターミナルでの着工式に出席したユドヨノ大統領は「過密状態解消のために空港拡張は緊急の課題だ」との認識を表明。「交通インフラの整備により、経済成長と投資誘致が進むことを期待する」と述べた。
ASEAN加盟国は、段階的に域内の航空自由化や航空市場統合を進めることで合意している。15年のASEAN経済共同体設立もにらみ、大統領は「5―10年で(拡張部分を)建設しなければならない」と意気込んだ。
1期工事の事業費は8千億ルピア(約66億円)。09年に運用が始まり、エアアジアなど格安航空会社(LCC)が利用している第3ターミナルを拡張し、収容能力を現在の400万人から2500万人まで引き上げる。新エプロンも設置し、ボーイング747やエアバスA330などの大型機材30機を運用できるようにする。
このほか、駐機場や誘導路の追加を含めた第1、2滑走路の変更も実施。1時間当たりの離着陸可能回数を現在の52回から62回に高める。第1、2ターミナル施設もそれぞれ増築。カーゴ・ターミナルも新設する。
第1、2ターミナル間には、モールや飲食店、宿泊施設、会議場などを含む複合施設なども設置。ジャカルタ中心部のスディルマン駅とマンガライ駅から、タンゲランを経由する二つの路線を運行する空港鉄道駅と結合させる予定。
拡張工事は来年中に1期工事を終え、2014年初めにも新施設の供用開始を目指す。
現在計画されている拡張工事の事業総額は、当初予定していた11兆7500億ルピアを超過する見込みという。
1期工事以降の計画では、空港北側の830ヘクタールの土地に第3滑走路と第4ターミナルを新設する。最終的に離着陸可能回数を234回まで増強し、年間旅客収容能力も8700万人に引き上げることを目指す。
スカルノハッタ国際空港は1985年4月、政権安定期を迎えたスハルト大統領が、建国の父であるスカルノ大統領とハッタ副大統領から命名して開港。91年に第2ターミナル、2004年にメッカ巡礼用のハジ・ターミナル、09年に第3ターミナルを開設した。