羽田―デンパサール線就航 ガルーダ航空 日本人のバリ観光促進に期待
国営ガルーダ・インドネシア航空は二十七日、羽田―デンパサール線を就航した。日本とバリを結ぶ直行便は、二〇一〇年に日本航空が撤退したことで大幅に減少し、日本からの客足に大きな影響が出ていたが、日本の国内線のハブとなっている羽田とバリが結ばれたことで、低迷していた日本人のバリ観光に復調の光が射し、両国の人的交流を促すことが期待される。
新路線は週に五本。羽田からは午前一時発、同七時三十五分着。デンパサールからは火・木・日が午後三時半発、同十一時半着、金・土が午後三時発、同十一時着。デンパサール発が二十七日、羽田発が二十八日に就航した。日本とバリを直接結ぶ路線はガルーダ航空のみとなっており、これまでの成田、大阪とデンパサール間の毎日一便に加え、今回の就航により、週十四便から十九便に増加する。ガルーダ航空の日本就航は今年で五十周年となり、記念すべき年に就航時の発着空港である羽田に再び乗り入れることになった。
二十八日、バリのングラライ空港で就航記念式典が開かれた。エアバスA330?300が着陸すると、放水アーチで歓迎。家族連れの日本人観光客を中心とした乗客約二百五十人をバリダンスなどで迎えた。
式典に出席したマリ・パンゲストゥ観光創造経済相は「日本人客は低迷しているが、とても大きな潜在性がある。ゴルフ、ダイビングなど、目的ごとにきめ細かいプロモーションをしたい。すでにバリを知っている人にもフローレス、ジョクジャカルタなどとのパック旅行を売り込みたい」と話した。エミルシャ・サタル社長は「日本はすでに震災から回復し始めており、今回の路線が成功する公算は立っている」と自信を見せた。在インドネシア日本大使館の島田順二公使は「多くの日本人がバリを訪れ、多くのインドネシア人が日本を訪れると期待している」と語った。
一九七八年に「ラマ・ツアーズ」を創業し、日本人バリ観光開拓に貢献した万亀子イスカンダールさんは就航について、「すごくありがたいこと。日本とのパイプを太くしてもらった」と喜ぶ。
昨年、バリを訪れた外国人観光客の国別で、日本は二〇一〇年の二十四万六千四百六十五人から二五%減となる十八万三千二百八十四人(シェア六・六五%)を記録。一位は豪州の七十九万九百六十五人(同二八・六九%)、二位は中国の二十三万六千八百六十八人だった。
〇五?〇九年は日本は三十万人台となることが多く、豪州と首位を競っていたが、一〇年十月に日航が直行便から撤退、一一年三月は東日本大震災が起きたこともあり、低迷していた。
万亀子さんは「統計はジャカルタ経由の旅客をカウントしていないため、統計ほどの減少は起きていないだろう。昨年は日本の旅行会社やバリの魅力のおかげで持ちこたえた」と指摘する。
バリ島の外国人観光客は〇五年の百三十八万六千四百四十九人から、テロ事件の影響による観光業の冷え込みを経て、一一年には二百七十五万六千五百七十九人まで急増した。近年の急速な経済成長を背景に、国内の観光客も増加している。
万亀子さんは「ホテルは建設ラッシュ。観光客も増え続けている。島のポテンシャルは依然大きく、日本人市場は盛り返せる」と力を込めた。