新規探鉱・開発を奨励 石油協会総会が開幕 ジョナン・エネ鉱相
第43回インドネシア石油協会(IPA)総会・展示会が4日、中央ジャカルタのジャカルタ・コンベンション・センター(JCC)で開幕した。6日まで開かれる。産業の発達に伴いエネルギー需要が高まる中、政府は石油・ガス田開発の探鉱・開発段階における税制優遇策などをアピールし、新規の開発を奨励する考えを示した。
開会式に出席したイグナシウス・ジョナン・エネルギー鉱物資源相は、米中貿易摩擦などを念頭に「予測不可能な世界経済の状況次第で、原油価格と国内経済に影響を与える」と話し、危機感を示した。国内需要に応えるための開発を進める上で、投資促進策などに努力する考えを述べた。
ジョナン氏は国内で多くの油田・ガス田の権益を持つ国営石油・ガスプルタミナに対して、既存の案件に頼らず積極的に新規開発に励むべき、という考えを示した。エネ鉱省が管轄する石油・ガス上流事業監督機関SKKミガスに対しては、技術開発とそれに伴うコスト面での効率化に努力するように注文を付けた。
投資促進策に関連して、8月に財務大臣令(2019年122号)が公布された。一定の条件を満たした開発事業者に対して、探鉱の過程で使われる設備やサービスに課される付加価値税(VAT)やぜいたく税、納税義務通知書(SPPT)記載に基づく土地・建物税が免除されると決められた。
開発段階においても、政府が定める内部収益率のラインを下回る業者に対しては、条件次第でこれらの税が軽減される。投資環境を改善することで、低迷する石油・ガス開発を活発化させることが狙いだ。
■4年ぶりの出展
展示会場では、国際石油開発帝石(INPEX)が4年ぶりにブースを出展している。このほど、インドネシア政府に承認された、アラフラ海マセラ鉱区アバディ・液化天然ガス(LNG)田の開発・プラント建設計画の概要を紹介している。
同ガス田では、2020年代後半の生産開始を見込む。LNGの生産量は年産950万トンを想定しており、日本のLNG年間輸入量の1割強に相当する。INPEXは全体の65%の権益を持ち、オペレーター(作業の実施、管理の当事者)となる。
同社は昨年7月、豪州で進めてきたイクシスLNGプロジェクトで、生産を開始している。年産890万トンのLNGを生産する計画で66%超の権益を持ち、ここでもオペレーターを務めている。
多くの埋蔵量が見込めるマセラ鉱区では2055年まで権益を持つ。アジアを中心にLNG需要が高まることが予想される中、同社のLNG事業における大きな柱となる。(平野慧、写真も)