海外展開本格化へ インスリン開発・新工場 カルベ・ファルマ
製薬大手カルベ・ファルマは13日、インスリンの生産開発に向けて、中国や韓国の企業と共同研究を進めていると明らかにした。アジア各国で糖尿病患者が増える中、輸出需要を見据えて技術革新を進める考えだ。同社は国内外の企業と提携し、その技術を活用して輸出を強化。アジア各国の成長を取り込み、グローバル企業として成長を目指す戦略を打ち出している。
3千億ルピアを投資して2021年に開業する予定で建設しているミャンマー工場では、一般用医薬品(OTC薬)・処方薬を製造する。
東南アジア諸国連合(ASEAN)域内屈指の規模を誇り、リードしてきた歴史を踏まえ、生産拠点の海外展開を進める。
同社は国内企業買収を繰り返して発展する一方で、米ファイザーや森永乳業との提携など、先進国各社との間でライセンス契約を結んだり技術移転、研究協力を進めたりしてきた。今後も日本や中・韓、欧州などの企業と提携する方針だ。
国内初の抗がん剤工場やバイオ医薬品工場を建てるなど、設備投資にも積極的だ。
同社はことし1年間の設備投資額を1兆5千億~2兆ルピアと想定し、生産能力拡充や流通ネットワーク強化、技術開発に充てる考えだ。
ジェネリック医薬品のラインナップを増やすほか、地場企業と協力して原料を確保することで、成長が見込める健康関連製品の開発にも力を入れていく。独自の医療機器ブランドのシェア拡大も目指す。
事業が多様化する中で、並行して受注や出荷などの管理体制強化や、電子商取引(EC)プラットフォーム充実化も進めていく。
同社のことし上半期の純利益(税引き前)は前年同期比3・5%増の1兆2582億ルピアで、売上高は同7・7%増の11兆1787億ルピアだった。輸出は減速しているが、国内販売が好調だった。
足下では世界全体で貿易の低調が続いているなどの課題はあるが、中長期的には売上高に占める輸出の割合を伸ばしたい考えだ。(平野慧)