専門家15人で個別相談 日系企業進出を包括支援 ジェトロ
日本貿易振興機構(ジェトロ)は法律や市場調査などの専門家15人と協力し、中小企業のインドネシア進出を支援する事業を始めた。すでに進出している企業も対象にし、マッチング支援や税制・会計などの個別相談に対応するプラットフォームを事業化した。
専門家は、10年以上の人事・労務の経験を持つインテリジェンス・HRソリューションズ・インドネシアの森智和さんやジャカルタ国際法律事務所の平石努弁護士ら15人。日本の大学院を出てからビジネスマッチングなどを手掛けてきたアウン・ワハナ・ジャヤ社のアスワンディさんをはじめ、インドネシアの経験が豊富な専門家がそろい、知識やネットワークを生かした支援をする。
支援内容は、税制や会計の制度や市場調査、インドネシアにおけるパートナー候補や関係機関のリストアップ、面談やフォローアップなど。
相談は無料でメールか面談、電話で受け付け、ジェトロから専門家に取り次いだ後も3回程度は無料で対応する。
事業は中小企業海外展開現地支援プラットフォームとして、ジェトロが今年度から始めた。これまでも企業進出の支援をしていたが、各分野の専門家が集まり、さまざまな相談に対応しようとプラットフォームを事業化した。相談件数は、6月上旬の受け付け開始から約1カ月半で25件が寄せられ、前年度までの関連した相談業務に比べ、反響が大きいという。
ジェトロは日系企業の多いジャカルタ東部の工業団地やバリ島、バタム島、ジャワ島の日本人会と連携してセミナーを開き、相談を募る。
ジェトロの鈴木啓之所長は「これまでの事業を束ねるように抜本的に支援を拡充した。資金的、技術的に課題の多い中小企業に広く事業を知ってもらいたい」と呼びかけている。
ジェトロによると、2018年に3400社を対象にしたアンケートで、日系企業の進出先として、インドネシアはタイ、ベトナムに続き、関心が高い。
一方、投資調整庁(BKPM)によると、ことし上半期の日本からインドネシアへの新規の投資の外国直接投資額(石油、ガス、金融分野を除く)は、国別で2位になったが、投資額は24億ドルで前年のほぼ横ばいにとどまっている。さまざまな規制や複雑な手続きなどがハードルになっているという。
ジェトロでは体系的な支援を提供し、日本からの進出や在イの企業を活性化したい考え。(木許はるみ)