「一層の共生図りたい」 存在感増すインドネシア JJC新理事長の水野さん
ジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)の新理事長に三菱商事常務執行役員(アジア大洋州統括)兼インドネシア総代表の水野正幸さん(六一)が就任した。JJCについて、「世界でも類いまれな活発な活動を行っている組織。先人の努力の蓄積で、地元にもきちんと認知され、この国に溶け込んでいる」と評価。「インドネシアは、発展が進み、新興国の中でも一つ頭の抜けた存在となっている。世界を取り巻く環境が変化し、インドネシアが新たな高みに突入する中、これまでの方針を踏襲しつつ、『新生インドネシア』に呼応するJJCとして、インドネシアとの一層の共生を図りたい」と抱負を示した。
二〇一〇年四月の着任から二年。「インドネシアは経済成長が加速し、ますます活況を呈している。世界における立場を強めている」と指摘する。
その中で、日本に対する投資の期待も高まっているという。製造業に加え、物流の円滑化のためのインフラ整備も特に重要で、JJCとしての貢献という点で、首都圏投資促進特別地域(MPA)構想を中心とした投資環境改善の意見具申活動により力を入れていく必要があるとの認識だ。
「日本企業の目から見た問題にとどまらず、『インドネシアの成長のために必要』という視点が大事。よりインドネシアの人たちと手を携えて、カディン(インドネシア商工会議所)、アピンド(インドネシア経営者協会)ともより積極的に意見交換をしていきたい」
また、インドネシアの市場としての魅力が増す中、「その成長を取り込む、という手前勝手な発想ではなく、インドネシアの人々の生活を豊かで、快適なものにするために、より良いものを提供するという姿勢が欠かせない」と強調した。
■ASEAN発展に協力
近年は、ASEAN(東南アジア諸国連合)ワイドの活動として、幹事商工会議所を務めるASEAN日本人商工会議所連合会と、ASEANのスリン・ピッツワン事務局長との対話など域内の連携強化も進めている。「昨年、インドネシアがASEANサミット、東アジアサミットを成功させ、国際社会でも大きな存在感を見せてきた。共同体設立を二〇一五年に控え、インドネシアがASEANの盟主であることが鮮明になってきた。インドネシアがASEANの発展に何をしていくことができるか、一緒に協力していきたい」
■両国市民の相互理解を
個人部会向けの活動については、「在留邦人のみなさんが、安全で健康的に楽しく暮らすお手伝いをすることがまず第一」と話す。
医療相談室については、移転を進め、装いも新たにし、サービスも充実させたいと水野さん。
また、バリの三都市親善スポーツ大会、個人部会フェスティバル、親善スポーツ大会などにも積極的な参加を呼び掛けていく。
「インドネシアの人々との交流をより活発にすることで、結果として両国市民の相互理解につながるということを目的として再認識していきたい」
自身は週末はゴルフに行くことが多いが、年に一、二回、日本から来た妻の真理さんとバリで一緒にサーフィンをするという行動派だ。
◇水野正幸(みずの・まさゆき)
1951年4月5日生まれ。愛知県名古屋出身。名古屋大学経済学部卒。74年に三菱商事入社。86―91年のシンガポール、96―99年のマレーシアに続き、2010年4月からジャカルタ駐在。アジア大洋州担当の本社常務執行役員として、パキスタンからニュージーランドまで15カ国を統括する。