224億ルピアを調達 JBIC、埼玉りそなから 大熊製作所現法
トラック用部品・建設用機械部品製造の大熊製作所(埼玉県川口市)の現地法人大熊・インダストリーズ・インドネシア(OII)は12日、国際協力銀行(JBIC)と融資金額157億1500万ルピアを上限とする貸付契約を締結したと発表した。大熊製作所のメーンバンクである埼玉りそな銀行との協調融資となる。埼玉りそな銀行は円か米ドルで融資を行い、協調融資総額は224億5千万ルピア相当となる見通し。同社がJBICから融資を受けるのは今回が初。
OIIは2012年設立。主力製品のトラック用板金部品の需要増加に伴い、西ジャワ州ブカシ県のグリーンランド国際工業センター(GIIC)の自社倉庫と製造設備の増設を決定し、今回の貸付契約締結に至った。
同社はトラック用板金部品以外にも、天井クレーンやボイラー、プラスチック射出成型機用の板金部品も手掛けている。森本雄久マーケティングマネージャーは「自動車産業以外でも、ニーズを読み取って対応していきたい」と語った。
■ルピア建て融資を推奨
JBICではルピア以外にもタイバーツ、人民元、メキシコペソなどで資金調達を行うことで、現地法人に対して収入通貨に合わせた融資を手掛けてきた。
通常、現地法人が日本の金融機関からクロスボーダーで資金調達する場合、円かドル建てとなることが多い。ルピアが主な収入通貨の場合が多い現地法人にとって、円やドルでの資金調達は返済時に為替差損を被るリスクがある。
そこで同行では「ルピアで借りてルピアで返す」ことが可能な資金調達を中堅中小企業に推奨している。
日本の金融機関がインドネシアの金融機関に信用状を発行し、それを担保にルピア建てで融資する「スタンドバイ・クレジット」制度を国営バンク・ヌガラ・インドネシア(BNI)などが取り扱っているが、実績は多くない。
JBICは2017年、インドネシアで13件、合計約1194億円相当の融資を実行した。金額ベースではインフラ建設などのプロジェクトファイナンス案件が大半を占めるが、中堅中小企業を中心にルピア建て融資のニーズが高いという。同行では民間の金融機関と協力しながら、引き続き、ルピア建て融資を提案していく考えだ。(高地伸幸)