大気汚染で政府提訴 20年に排ガス規制も 環境団体
環境保護団体グリンピース・インドネシアとワルヒのメンバーなど30人は4日、ジャカルタ特別州の大気汚染改善を求め、中央ジャカルタ地裁でジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領、アニス・バスウェダン同州知事など6人を相手に訴訟を起こした。アニス知事は自動車の排ガス規制などを通し、要求に応える姿勢を示している。
原告団は、首都の大気汚染が市民の健康を害している状況に対し、政府が必要な対策を行っていないと主張。大統領と州知事のほか、環境林業相、保健相、内務相などを相手取っている。
アニス知事は7日、声明を発表し、原告の訴えを尊重する姿勢を示した。対策として、州内で排気ガス測定器の設置を進め、2020年以降に自動車の排気ガス検査を義務化するという。走行可能な車の台数を減らし、公共バス「トランスジャカルタ」や大量高速鉄道(MRT)など公共交通機関の利用を促進するとしている。
また原告団は首都近郊の西ジャワ州、バンテン州の工場、火力発電による影響を指摘。両州知事にも同様に対策を求めている。
大気汚染を監視する民間機関エアビジュアルとグリーンピースが行った、米環境保護局の汚染度を示す指標「空気質指数(AQI)」を用いた調査で、ジャカルタは2018年に東南アジア最悪の汚染状況とされていた。
AQIは、人体に有害な微小粒子状物質「PM2・5」など汚染物質の大気中の濃度を基に算出される。18年の世界ワースト1はインド・デリーだった。東南アジアワースト2位はベトナム・ハノイで、3位から6位までをタイの都市が占めた。(大野航太郎)