和歌山から「あら川の桃」 首都圏で販売 青果仲卸の「大正丸」

 和歌山市の青果仲卸業者「大正丸」が手掛けるブランド桃「あら川の桃」がインドネシアに初出荷された。ジャボデタベック(首都圏)のショッピングモールで数量限定で販売されている。

 大正丸の川崎悟社長は約4年前から、カナダのバンクーバーなど、海外の商談会に精力的に参加、海外出荷の道を模索してきた。日本の商社経由で今回の出荷に至った。今後、ニーズ次第で継続的な青果の出荷も視野に入れる。
 実際に出荷を行った和歌山市中央卸売市場も、海外出荷は今回が初めて。同市場はことし、仲卸業者の海外出荷を支援する制度「海外販路開拓支援補助金」を策定。同市場の西林孝紘さんは、大正丸のほかにも数社の仲卸業者が、同補助金の候補者として手を挙げていると話す。
 インドネシア以外の出荷先として、タイや香港が挙がっているという。同市場は関西空港から車で30分という好立地を生かし、引き続き海外への出荷を促進したい考えだ。
 「あら川の桃」の販売を行っているショッピングモールは、2015年から定期的に日本産の桃を輸入販売している。同店の担当者によると、同店の販売活動や訪日旅行者の増加も相まって、これまでインドネシア人の間でなじみの薄かった桃の味が徐々に定着しているという。
 1個5万9800ルピアだが、6月28日から3日までの6日間で、店頭に並んだ360個の半数がすでに売れており、「反応は上々」と語った。
 日本の人口減少や、それに伴う消費の低下といった逆風をバネに、地方の青果業界が世界に挑んでいる。大正丸は、大正15年創業の老舗。川崎社長は「海外への出荷を、さらなる成長の糧にしたい」と意気込んだ。(高地伸幸、写真も)

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