プラボウォ敗訴 憲法裁「証拠不十分」 大統領選ようやく決着 

 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領勝利の大統領選結果に、野党プラボウォ・スビアント氏の陣営が異議を申し立てた審理で、憲法裁判所は27日、申し立てを全面的に退ける判決を下した。昨年9月の選挙戦幕開けから9カ月に及んだ大統領選は、ジョコウィ大統領の再選で最終決着し、与野党は第2次政権組閣を見据えた関係再構築に動き始めている。

 プラボウォ陣営は「組織的で大規模な不正」によりジョコウィ側に約2200万票が水増しされ、実際には得票率52%でプラボウォ氏が勝利したと、異議を申し立てた。「集計用紙がすり替えられた」「選挙委員が投票用紙に穴をあけた」「ジョコウィ陣営が票を買収した」などと全国各地での「不正」を指摘したが、裁判官は、陣営が提出したネットニュースのコピーや動画素材を証拠として不十分とみなした。
 マアルフ・アミン副大統領候補が国営シャリア銀行の監査役に就いている点が「選挙違反」だとしたプラボウォ陣営の主張についても、違反は認められないとし、プラボウォ陣営が求めた「失格」とはならなかった。
 午後0時半から行われた公判は午後9時すぎまで続いた。憲法裁のある中央ジャカルタのメダン・ムルデカ・バラット通りには、プラボウォ氏の支持者やイスラム勢力など約3千人が集結しデモを展開したが、判決が出る前の午後5時すぎには解散し、混乱はなかった。
 大統領選は4月17日の開票速報でジョコウィ氏の勝利が確実視され、集計を終えた5月21日に、ジョコウィ氏が11ポイント差で勝利したとする公式結果を総選挙委員会(KPU)が発表した。プラボウォ陣営は当初から勝利宣言を繰り返し、大衆を動員して結果に抗議すると息巻いていたが、5月24日になり、憲法裁への異議を申し立てていた。

■笑顔で敗北認める
 プラボウォ氏と副大統領候補のサンディアガ・ウノ氏は、閉廷後間もない午後9時半ごろに南ジャカルタ区クルタヌガラのプラボウォ氏宅でそろって会見し、「憲法裁判所の判決を尊重する」と敗北を認めた。支持者への感謝を伝え、最後は両者で手を取り合い、今選挙初の「敗北宣言」を笑顔で締めくくったが、ジョコウィ氏への祝福の言葉はなかった。
 一方、再選が確定したジョコウィ氏は同日夜、主要20カ国・地域(G20)首脳会議に出席するため、日本に向けて出発する直前、東ジャカルタのハリム空港で会見し、「01番(ジョコウィ派)も02番(プラボウォ派)ももうない。再び一つになり、インドネシアを前進させよう」と国民に団結を呼びかけた。
 総選挙と初の同時開催となった今回の大統領選では、共闘した政党の利害が一致せず、足並みが必ずしもそろわない場面もあった。特に野党連合のうち、ユドヨノ前大統領率いる民主党やイスラム政党・国民信託党(PAN)は選挙直後から連立与党入りが取り沙汰されている。プラボウォ氏率いるグリンドラ党への入閣打診もあったとされ、与党連合はさらに拡大する可能性がある。プラボウォ氏は28日にも野党連合の党首らを集めて今後の方針を協議するという。
 選挙で過熱した攻防の収束に向けて、歩み寄りを図るジョコウィ氏とプラボウォ氏の面会が待たれている。(木村綾)

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