日本人がコーチ 海外協力隊比嘉昴さん ラグビーインドネシア代表
マジュ(進め)——! フィールドで叫ぶ屈強な男たちに交ざって、一見細身の日本人の青年がホイッスルを吹く。中央ジャカルタ区スナヤンのブンカルノ競技場内のラグビー場。2018年7月から国際協力機構(JICA)の海外協力隊としてインドネシアラグビー協会に派遣されている比嘉昴さん(26)だ。インドネシア各地でラグビーの普及活動や、チームや審判の指導を行っている。
比嘉さんは今月、日本人として初めて15人制ラグビーのインドネシア代表チームのコーチに就任した。チームは今月ジャカルタで行われるラグビー国際大会「2019アジア・ラグビー・チャンピオンシップ」の第3部リーグに出場予定。23日の中国戦、29日のインド戦に向けて練習に励んでいる。
ラグビーの国際統括団体「ワールドラグビー」が発表するワールドランキングによると、ことし6月時点でインドネシアは全105カ国中102位。今回対戦する中国(87位)とインド(81位)はいずれも格上の相手となる。比嘉さんはインドネシアの選手について「個々のスキルが高い」と分析。「それぞれの持ち味を効率良くチームプレイに反映させて、奮闘したい」と意気込む。
比嘉さんは小学校からラグビーを始め、流通経済大学ラグビー部のコーチを務めたこともある生粋のラガーマン。日本帰国後は体育教員を目指しており、「海外で経験したこと、見たものが教員としても生かせるのでは」と考え海外協力隊に志願した。
JICAでは現在、14人の海外協力隊をインドネシアに派遣している。各隊員が専門とする分野はスポーツからマーケティングまで多岐に渡る。また、18年には流通経済大学と連携。これまでに同大の学生と教員を18人、短期ボランティアとしてインドネシアに派遣し、各地でラグビーの普及活動を行っている。(高地伸幸、写真も)