日経アジア賞にナディム氏 ゴジェックCEO
ゴジェック創業者・CEOのナディム・マカリム氏がアジアの発展や安定、地域づくりに貢献した人を表彰する日経アジア賞の経済部門賞に選ばれ、授賞式が都内のホテルで29日行われた。インドネシアから経済部門で表彰されたのは第1回(1996年)のウィジョヨ・ニティサストロ国家経済顧問以来。
ゴジェック社は2010年に創業、15年にスマートフォンのアプリを通じたサービス開始後、急成長し、現在、世界で19社しかないデカコーン企業(企業評価額100億ドル超の未上場企業)に数えられる。このサービスで市民は手軽に割安な運賃でオジェック(オートバイ・タクシー)が利用できるようになった。
ナディム氏は受賞講演で同社が開発した配車アプリは「人・モノ・カネが動くソフトウエア・プラットフォーム」と説明。「技術は社会課題のためにある」とし、今後も地域の成長に貢献するためのアプリとして活用を拡大する考えを示した。
白石隆・経済部門審査委員会座長(熊本県立大学理事長)は「配車サービスばかりでなく、失業者への雇用機会をも生み出した社会的イノベーション」と表彰理由を説明した。また、あいさつに立ったアリフィン・タスリフ駐日インドネシア大使は「インドネシア発のサービスが東南アジアに波及し、社会課題の解決に役立っている。インドネシア人として誇りに思う」と述べた。
科学技術部門では、世界で初めてブラックタイガーの人工苗生産に成功した廖一久氏(台湾)が、文化・社会部門ではフィリピン初の大規模デジタル映画祭を立ち上げたシネマラヤ財団(フィリピン)が、それぞれ受賞した。
日経アジア賞は経済、科学技術、文化・社会の3部門でアジアの発展と繁栄に貢献した人を毎年表彰しており、ことしで24回目。日本人は表彰対象には含まれない。(斉藤麻侑子、写真も)