【インドネシア投資レビュー】新事業の本拠地に 将来支えるのは「人」 東條観治社長に聞く

 インドネシア国内に35の事業会社を展開する住友商事。新事業を進めるインドネシア住友商事の東條観治社長に話を聞いた。
 住友商事が元来、インドネシアで中核事業として進めてきたのは、石炭火力・地熱発電所運営や自動車関係のファイナンス、日野自動車と連携したトラック販売、物流事業などだ。「これら強い事業をプラットフォームにして、新たな展開を生み出していく」。
 昨年からトプコンとの合弁で進めている、通信サービスを用いて車の走行状況などを収集・分析する「テレマティクス」や、精密農業分野を展開する新事業の本拠地には、インドネシアが選ばれている。東南アジア諸国連合(ASEAN)各国およびインド市場における、都市化の進行や就農人口の減少に対して、農業の生産性を高める精密農業も導入していく。
 なぜインドネシアがその本拠地となるのか、という問いに対しては「人口も多く、いろいろな情報の拠点にもなっていく可能性が高い。また、財閥グループなどとも協業していくことで、スピード感も高められる可能性もある」と展望を話す。
 リッポーグループとの間で進める宅配の新事業では、リッポーの持つ小売店や中小零細企業とのネットワークを活用しつつ、日本で培った物流ノウハウを導入。物流網を構築する。電子商取引(EC)や小口配送など、物流ニーズの裾野は広がっており「(ビジネス領域を)一般消費者相手にまで広げていく」と語る。
 その他、「キャッシュレス経済関係のビジネスや交通インフラ、スマートフォンが普及していく中でのIoT(モノのインターネット)関係もポテンシャルがある」と見ている。
 「しっかりとした工場を作り、製品を輸出できる基盤づくりのお手伝いもしていきたい。この国の将来を支えていくのは『人』であり、人材育成や日本との人材交流なども活発化させていきたい。」と話す。さらに「この国のインフラ整備強化の役にもたちたいし、海に囲まれた日本と同じ環境の国であるので、水産資源関連の事業などもお手伝いができれば」とも語る。
 住友商事がインドネシア国内で多くの案件を実現させ、現在も西スマトラ州ムアララボで進む地熱発電事業についても、新規案件の商談を進めていく。
 可能性がたくさんある中で、収益性を踏まえた事業についての模索が続く。(平野慧、写真も)

 とうじょう・かんじ
 1985年慶応義塾大学商学部卒業後、住友商事入社。99年建設機械第一部参事(トロント)、2010年建設機械第三部参事(上海)、13年建設機械第三部長。15年理事・建設機械事業本部長を経て、18年4月から理事・アジア大洋州総支配人補佐、インドネシア住友商事会社社長。1962年1月東京都生まれ、57歳。

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