宗教の違いを超えて 空真流空手 武道館除幕式とブカプアサ
西ジャワ州チマヒ市の陸軍体育学校で18日、笹川良一体育館(武道館)記念碑除幕式が行われ、松崎宝龍・空真流空手道宗家、長男の松崎沢宣・陸軍体育学校空手師範、アハマッド・サイフディン陸軍准将西ジャワ州体育協会会長、チマヒ市長・副市長ら約800人が参加した。
武道館は1987年、バンドン市に建てられ、インドネシアで武道を推進する拠点となっている。インドネシア空真流空手道は200万人以上の会員を擁し、インドネシア最大の流派。記念碑は松崎宗家のこれまでの貢献をたたえたもの。
除幕に当たり、アハマッド会長は日本の武道の道場とイスラムのモスクは非常に似ていると指摘し、「館内に入る時は靴を脱ぎ、身を清め、神殿に拝礼し、稽古開始の時も、神殿・神坐に拝礼する。場内は神聖で、精神の鍛練と規律を重んじる精進の場所。日本の精神文化とインドネシアのイスラム文化には非常に共鳴する共通点が多く、インドネシアには日本の武道愛好者が多い」と述べた。
また、松崎宗家は「われわれは宗教は異なっていても、皆、神の子であり、武道を通じ切磋琢磨(せっさたくま)し、世界人類が仲良く、理解し合い、平和と繁栄の実現に向けて努力・協調し合うことが肝要である」と述べた。
日没後、空真流空手道場の一門によるブカプアサ(1日の断食明け)の食事が振る舞われた。
松崎宗家は1966年以降、マグラン国軍士官学校で指導したほか、バンドンに拠点を移し、国軍指揮幕僚課程、統合指揮幕僚課程の将校らに空手を教えた。また、バンドン工科大学などでも政財界の多くの指導者を育成した。
主な弟子として、ユドヨノ前大統領、ウィラント政治・法務・治安調整相、大統領候補のプラボウォ氏、ルフット・パンジャイタン海事調整相、ヘンドロ・プリヨノ元国家情報庁長官などの国軍指導者、文官ではアブリザル・バクリー元経済調整相、石油業界大物実業家のアリフィン・パニゴロ氏、マルズキ・ダルスマン元検事総長、ウスマン・サプタ・ハヌラ党党首ほか多くの人材がいる。みな親日家・知日家である。
長男の沢宣氏は日本国内で前人未到の全日本空手選手権5連覇を成し遂げ、その後、インドネシアで空手を指導。2015年、陸軍体育学校内に澤道場を立ち上げ、陸軍兵士のほか、400人の孤児、社会人らにも空手を指導している。(濱田雄二、写真も)