元民主党幹部に禁固4年10月 企業幹部の責任を認定 汚職特別法廷 SEAゲーム宿舎汚職事件
SEAゲーム(東南アジア選手権大会)選手宿舎建設などに絡む汚職事件で、受注企業から四十六億ルピア(約四千万円)の賄賂を受領したとして、汚職罪に問われた元民主党幹部ムハンマド・ナザルディン被告の判決公判が二十日、南ジャカルタ・クニンガンの汚職特別法廷で開かれ、裁判長は禁固四年十月と罰金二億ルピア(求刑同七年、同三億ルピア)を言い渡した。ユドヨノ大統領の母体である与党・民主党の「金庫番」とも言える党会計部長を務めていたナザルディン被告の関与が発覚した事件は民主党の中枢を直撃。窮地に追い込まれた被告が同僚の汚職関与を次々と暴露したのを受け、党首や副幹事長の捜査も進んでおり、党や政権に対する国民の信用低下を引き起こしている。
判決文によると、ナザルディン被告は昨年、自身が経営するアナック・ヌグリ社の部下、ミンド・ロサリナ・マヌラン受刑者(禁固二年半)と、民主党副幹事長で国会第十委員会(教育、観光、スポーツ)委員のアンジェリナ・ソンダク容疑者を引き合わせた。
さらにアンジェリナ容疑者を通じ、同党幹部のアンディ・マラランゲン青年スポーツ担当国務相の事務所に掛け合うなどして選手宿舎建設事業(総額千九百十六億ルピア、約十七億円)の業者指名に便宜を図り、その見返りとして、受注業者ドゥタ・グラハ・インダ社のエル・イドルス受刑者(禁固二年)から四十六億ルピアの賄賂を受領した。
同事件では民主党の党首選に絡む資金調達などの疑いも指摘されたが、判事はこれを認定せず、あくまで被告が幹部を務めていた企業が建設業者に便宜を図り、贈収賄に関与したことを重視。事業について話し合った会合に出席したことや、賄賂授受に直接関与した部下らの証言を採用し、企業幹部としての責任を認定した。
ナザルディン被告は、西ジャワ州スントゥールのハンバラン競技場建設事業、教育文化省や保健省など複数の公共事業に絡む汚職事件に関与した疑いも持たれており、汚職撲滅委員会(KPK)は余罪を追及していく方針。
SEAゲーム汚職事件では、アンジェリナ容疑者の捜査を進めているほか、ハンバラン競技場建設事業では、アナス・ウルバニングルム党首を近く取り調べる予定だ。
ナザルディン被告の弁護人、エルサ・シャリフ氏は「アンディ国務相の事務所が賄賂授受の摘発現場になったため、他の民主党幹部も同事件に関連付けられているが、判決では複数の汚職疑惑と混同している部分もあり、被告の収賄を立証する物証は不十分」と指摘。「贈収賄した企業幹部の責任を問うのであれば、同じ企業から給与を受け取っていたアナス氏も同罪になるはずだ」と公平な訴追を訴えた。