航空運賃12~16%減額 高止まりに政府対処 観光業界「不十分」
政府は13日、年始から高騰する国内便航空運賃について、運輸省が定める国内線エコノミークラスの航空運賃の上限額を12~16%引き下げると決定した。15日から施行する。観光業界からの要望に応えた形だが、国内からは高騰に対して値下げ幅が不十分であるとし、旅行者の海外流出を懸念する声が上がっている。
現行の上限額はジャカルタ~スラバヤ間(ジェット機)で137万2千ルピア、ジャカルタ~バリ間で同165万1千ルピア。フルサービスを対象に運輸大臣令で定められている。ブディ・カルヤ・スマディ運輸相は地元メディアに「(値下げを)速やかに実行する」と話した。
航空運賃の値上がりは燃油費の高騰が主な要因にあるとされる。中央統計局(BPS)によると、ことし第1四半期の国内線利用者数は1830万人で、昨年同期の2220万人を下回った。一方、国際線利用者数は前年同期比4・9%増の440万人だった。
高止まりした航空運賃への対応を求める声が高まる中、ダルミン・ナスティオン経済調整相がラマダン(断食月)からレバラン(断食月明け大祭)のインフレ上昇への影響を懸念、運賃是正に動いた。
アリフ・ヤフヤ観光相は「観光客への影響はジャワ島外で特に顕著だ」とし、スンバ島(東ヌサトゥンガラ州)やロンボク島(西ヌサトゥンガラ州)、メダン(北スマトラ州)などで減少幅が深刻だと懸念を示した。
インドネシア旅行協会(ASITA)は、国内線航空運賃の上昇で海外観光地への旅行者の流出が深刻化、国内関連産業が打撃を受けているとし、政府に是正を求めている。今回の減額に関しては「(一部便で)航空券代が前年の倍以上になっている」とし、更なる値下げが必要だとしている。
インドネシア航空協会(INACA)は、政府が介入して無理な値下げを行えば、航空各社は採算性の低い便を運休する動きを加速させると指摘。空港使用料や航空券への付加価値税の減額を通した値下げを求めている。
日系旅行会社からは、在留邦人向けのツアーを含め、週末を利用した国内旅行の減少が指摘されている。レバラン中の国内旅行の予約は5月下旬から本格化するとみられ、影響が注視される。 (大野航太郎)