「パンチャシラの勝利」  ジョコウィ支持者、喜び爆発

 「私たちの国は一つの宗教の国じゃない、パンチャシラの国だ!」
 17日夜、中央ジャカルタ区プロクラマシ通りの、ジョコウィ陣営ボランティアらが集まる「希望の家」前。街宣車の上から男性が叫ぶと、集まった数十人の支持者たちは喜びを爆発させるかのように、踊り、水を掛け合った。祝福の国旗メラプティがはためく。
 開票速報で再選確実となったジョコウィ氏が重視してきたのが、宗教や民族の多様性尊重をうたう建国5原則「パンチャシラ」だ。イスラム保守勢力が動員され、宗教や民族対立が表面化した今回の選挙戦の結果は「パンチャシラの勝利」だと、東ジャカルタ区プロガドゥン在住のキリスト教徒、ジョン・パンジャイタンさん(50)は言う。ムスリムの友人らと共に街宣車の上でマイクを握り、「宗教や民族が違っても私たちは一つ」と力強く呼びかけた。

■保守勢力への懸念
 ジョコウィ氏自身の人間性や仕事ぶりへの評価に加え、勢いを増すイスラム保守派への懸念も再選を後押ししたようだ。
 西ジャカルタ区クンバンガンに住む元国営企業社員の男性(68)は「一般家庭出身で、庶民の暮らしを分かっている。汚職歴もない」とジョコウィ氏を評価。「エリート軍人出身で人権侵害に加担した過去があるプラボウォ氏とは正反対のキャラクターだ」と話す。
 自身がキリスト教徒であることも支持理由の一つ。選挙前には強硬派のハビブ・リジック・シハブ・イスラム擁護戦線(FPI)代表を支持するイスラム集会も近所で開かれ、地元住民も出席していたという。 17日朝、投票所でこうした住民と顔を合わせ、互いにあいさつした後、「彼らの言うことは信じない方がいい」と前出の男性は記者に耳打ちした。ジャカルタ特別州知事選以降、尾を引いている宗教論争は、一般市民の間にも静かな分断をもたらしている。
 イスラム教徒の中にもこうした動きに違和感を持つ人はいる。西ジャカルタ区チュンカレン在住のタクシー運転手、アグスティアンさん(29)は反アホック運動からプラボウォ氏の支持運動へと発展した「212」運動について、「なぜイスラムがあのようになってしまったか、理解できない」と嫌悪感をにじませた。
 「運転手として毎日走り回っているから、ジャカルタの変化は目に見える。政治のことはよく分からないけど、インフラ開発などジョコウィ氏の仕事ぶりは明らか」。2年前のジャカルタ特別州知事選でも、やはり「仕事ぶり」を理由にアホック氏を選んだという。アホック州政下で洪水が減ったり売春街カリジョドが公園になったりした一方、「サンディアガ氏はジャカルタ特別州副知事になって成果がないまま副大統領に立候補した」と指摘した。(木村綾)

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