【実習生「人間改造」(上)】「バカヤロ」「すみません」 講習内容に議論沸騰 受け入れ拡大の中で
外国人技能実習生の講習のあり方をめぐり、じゃかるた新聞が監理団体に関する記事を2月19日に掲載したところ、「人間改造」をするという講習などに、読者から疑問の声が寄せられた。実習生向けとみられる制作者不明の日本語教材の、「バカヤロ」と言われたら「すみません」と答える、といった内容もネットに投稿され、議論が沸いた。実習生や外国人労働者受け入れが拡大する中、「厳しい」訓練の是非が問われそうだ。
「遅刻を1分でもすれば、午前中は立ったまま勉強をする」。監理団体「アイム・ジャパン」の柳澤共榮会長はインタビューで、厳しい訓練の一端を紹介した。「外からスパルタ教育と見られることもあるが、(事前講習の)4カ月間で人間改造をするのは大変」と必要性を述べていた。
これに対し、ツイッターでは、実習生だった自分の夫も記事のように「立たされていた」と、日本人女性(27)がつぶやいた。女性は、元実習生の知人から見せてもらったという日本語教材(制作者・団体不明)も写真付きで紹介。
教材には「『おまえ(きさま)』と呼ばれたら、『はい』と答えます」「例)先輩『ふざけんな』実習生『すみません、もういちど、やり方を教えてください』」などの表現があった。
また「上司が実習生を注意する言葉」の一覧には、「バカヤロ」があり、「『すみません』と答え、指示に従う」というような回答が書かれている。
女性の写真付きツイートは、約700リツイートされ、「パワハラ前提で働き続けるマニュアル」「使う側の日本人の人権意識が、悲しいほど低い」という反応が寄せられた。
この女性は取材に、インドネシア人が親戚中から資金を集めて、実習生になろうとしている背景から、「こういう〝ご指導〟を受けて心底疲弊したとしても、『実習を辞退することができますか?』」と疑問を呈した。
またツイッターでは、柳澤会長の「人間改造」という言葉に、「人間改造しなければできないようなことをさせるのか?」という意見をはじめ、違和感を訴える意見が寄せられた。
「人間改造」の意味合いや講習について、柳澤会長はインタビューで、次のように語っていた。
「(午前中、ずっと立っているというのは)規律を守ることの大事さを覚えていく。(実習生候補者は)20何年も、時間をあまり守らず(日本とは違う)生活をしてきた。4カ月の講習で人間改造をするんです、大変です」。礼儀作法を徹底することで、「企業からかわいがってもらえる。そうすれば、実習生も一生懸命やろうとして、好循環になる」と話した。厳しい研修も「彼らのため」だ。
前出の女性らから疑問が相次いだ一方で、女性の夫は「実習生の制度をなくしてはいけないし、僕たちはがんばらないと」と、講習内容に肯定的な意見を述べた。
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これから日本へ向かう実習生の候補者たちは、どう思っているか——。講習中のインドネシア人らに聞く。(つづく) (木許はるみ、写真も)