バクリー批判が噴出 ゴルカル党地方支部 大統領選控え亀裂表面化
大統領選出馬を目指すゴルカル党のアブリザル・バクリー党首に、地方支部の幹部が公然と批判を展開した。バクリー氏や同氏周辺の党幹部はこれまで、盛んに「大統領候補の最有力はバクリー氏」とけん伝してきたが、バクリー氏と距離を置く党の実力者からも党の大統領候補の早期決定に懸念の声が上がっている。国会第一党でユドヨノ大統領の出身母体の民主党が汚職疑惑に端を発する分裂騒動で揺れる中、ユドヨノ政権の期間が満了する二〇一四年以降の勢力拡大を図るゴルカル党も党内が一枚岩ではない現状が表面化した形だ。
十八日にジャカルタで行われたゴルカル党の県・市支部幹部の会合後、会の実行委員長を務めたバンダアチェ市支部長のムンタシル・ハミッド氏は「多くの支部がバクリー氏の大統領選出馬に懸念を示した」と語った。
同氏は「なぜ党の功労者のことをバクリー氏は忘れているのか」と述べ、バクリー氏が幹部人事を進めた二〇〇九年の党首就任後から、地方支部では反感が残っていたと明らかにした。
バクリー氏は〇九年の党首就任後、党首選を争ったスルヤ・パロ氏やパロ氏支持に回ったユスフ・カラ前党首(前大統領)などを要職から外す人事を行っていた。第一期ユドヨノ政権で法務人権相を務めたアンディ・マタラッタ氏は「各支部が草の根の声を聞いてバクリー氏を支持しているとは思えない」と述べ、党執行部が「ほとんどの地方支部がバクリー氏の出馬支持を表明している」と公言していることに疑念を示した。
また党執行部が党の大統領候補を決める党大会の開催を、当初の十月から七月に早める決定を下したことに対しても、カラ氏らライバルの出馬の可能性を閉ざすためだとして、反発の声が上がっている。
党執行部のフィルマン・スバギヨ氏は、党大会の早期化の理由について、前回ゴルカル党が大統領候補を決定したのが大統領選の三カ月前だったことが敗因になったとして、「今、出馬を決定するのは、候補者を国民により知ってもらうためだ」と説明した。
だが古参の有力政治家のアクバル・タンジュン党最高顧問会議議長は、党の結束に影響を与える可能生があることから、党大会の早期開催に否定的な見解を表明。「世論調査ではカラ氏の支持率は(バクリー氏よりも)高い」と述べ、カラ氏らの出馬の可能性を閉ざすべきではないと主張した。
バクリー氏率いるゴルカル党は、連立政権内にありながら燃料値上げ問題などの際には政権批判を展開し、政権側に妥協を強いるなどして、現政権内で発言力を強めてきた。