コモド41匹密輸摘発 東ヌサトゥンガラ州 国立公園閉鎖も
東ジャワ、中部ジャワ州警察は27日、東ヌサトゥンガラ州にある世界自然遺産、コモド国立公園でコモドオオトカゲ(別名コモドドラゴン)を密猟し、2016年から計41匹をアジア3カ国に密売していたとして、犯罪組織の5人を天然資源保護法違反の容疑で逮捕したと発表した。事件を受け、同州は生態系保護のため、2020年1月に同公園を閉鎖すると強硬措置も辞さない構えを見せている。
地元メディアによると、州警は2月22日、東ジャワ州スラバヤ市で住民の通報を受け、コモドドラゴンを違法に飼育していた疑いで2人を逮捕。同市の容疑者宅でコモドドラゴンの子ども5匹を保護した。
その後の捜査で犯罪組織の存在が判明し、27日までに中部ジャワ州スマランなどで少なくとも5人を逮捕した。容疑者らは密猟を行った後、スラバヤ市の容疑者宅に移送、飼育しながらソーシャルメディア「フェスブック」でタイやベトナムのバイヤーと連絡を取り合い、密売を行っていた。
コモドドラゴンは容疑者らの間で転売が繰り返され、末端販売価格は国内で2千万ルピア、海外では5億ルピア以上になるという。
コモドドラゴンは研究や繁殖以外の輸出が規制され、同国立公園で生態系保護が行われているが、近年は個体数減少が指摘されていた。環境林業省はことし2月までに、コモドドラゴンの個体数が14年から5年間で331頭減り、2762頭になったと明らかにしている。
公園内ではエサとなるシカの密猟が行われているほか、観光客のごみのポイ捨て、立ち入り禁止区域への侵入などが頻発し、コモドドラゴンの生態系に悪影響を与えているとの指摘がある。
フィクトル・ブンティル・東ヌサトゥンガラ州知事は28日、広報担当者を通し、コモドドラゴンの調査、研究と生態系保護のため、公園の閉鎖が必要だと訴えた。地元警察に公園周辺の警備強化も求めている。
同公園の周辺には、海水が触れた部分が薄ピンク色になる「ピンクビーチ」などがあり、政府が重点的に観光開発を行う国内10地域の一つに選ばれている。地場のみならず日系旅行会社も観光パッケージを組んでおり、閉鎖による観光客減が不安視される。
同公園と周辺のビーチを合わせた観光パッケージを販売する旅行会社、ビーウィシュツアーの松田哲也さんは「世界自然遺産というネームバリューがある観光地に行けなくなる影響は大きい。日本人だけでなく、観光客全体が間違いなく減少するだろう」と話した。(大野航太郎)